2022 Fiscal Year Annual Research Report
Development of sample preparation for single cell 3D mass spectrometry imaging
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19K12754
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
正木 紀隆 国立遺伝学研究所, 遺伝メカニズム研究系, 特任研究員 (80614073)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 質量分析 / 質量分析イメージング / 脂質分析 / トリアシルグリセロール / 脂肪滴 / 脂肪酸 / イオン化効率 / TOF-SIMS |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は、令和3年度にコロナ禍の影響で最低限しか行うことができなかった飛行時間型二次イオン質量分析(TOF-SIMS)測定を引き続き実施した。具体的には、脂肪滴内部に存在するtriacylglycerol(TG)に由来するシグナルの検出と、ガスクラスターイオン銃(GCIB)による試料の切削を組み合わせた三次元TOF-SIMS測定の二つを達成することを目指した。 前駆細胞との比較により、パルミチン酸とパルミトレイン酸を側鎖にもつTG(16:0/16:0/16:1)の分子量に相当するシグナルを3T3-L1脂肪細胞に特異的なシグナルとして検出することができた。さらにその断片に相当するシグナルが同様の空間分布を示したことから、TGであると同定した。パルミチン酸とパルミトレイン酸の空間分布は共に、固定した細胞では脂肪滴様の構造を示した。未固定細胞ではその構造が脱落し、細胞がない場所においても漏出した脂肪酸が検出された。これにより、本研究でもちいた固定処理は脂質の分子量に影響を与えることなく脂肪滴の構造を保持可能であることを示すことができた。GCIBによる切削に対してもある程度の深さまでは空間分布が保たれたことから、三次元測定への応用も期待できる。 本年度の成果をもって、0.25%glutardehydeで脂肪細胞における脂肪滴の構造が保持されることを走査型電子顕微鏡をもちいた形態観察と、TOF-SIMSをもちいた分子分析の両方により示すことができた。また、スプレー処理に対しても構造を保つことが可能なため、硫酸アンモニウム処理を組み合わせるによりイオン化の効率を2倍程度向上することも実現している。以上をもって、脂質の一細胞内三次元質量分析イメージングのための有用な前処理法を確立するという目的が達成されたと結論付ける。
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