2019 Fiscal Year Research-status Report
レーザパルスジェットメスと血流画像計測を用いた形成外科皮弁形成術術中支援システム
Project/Area Number |
19K12764
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
荒船 龍彦 東京電機大学, 理工学部, 准教授 (50376597)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鷲尾 利克 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (40358370)
矢野 智之 公益財団法人がん研究会, 有明病院 形成外科, 部長 (40537304)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 乳房再建 / 皮弁移植 / ジェットメス / in silico |
Outline of Annual Research Achievements |
レーザーパルスジェットメスによる脂肪組織破砕メカニズムについては未だ不明な点が多い.ブタを用いた実験では臨床医の手元の感覚として,ヒト脂肪組織にくらべブタ脂肪組織が硬いために比較には向いていないという知見を既に得ており,そのためin silicoによるジェットメスの脂肪組織破砕メカニズムの詳細を明らかにする取り組みを行った.東京大学の越塚らが開発した粒子法を基に脂肪組織および液溜まり現象を模擬した形状を再現し,そこへ高速のジェットを打ち込んだ際のジェット液の挙動を解析した.ゼラチンファントムにバブル型ジェットメスでバブルジェット液を打ち込んだ様子を高速度カメラで撮影して画像解析した情報を速度と圧力のパラメータに変換して,粒子法のモデルへ組み込んだ.in silico解析により,高速に打ち込まれたジェット液は液溜まり内部の外縁部をこそぐようにして対流し,ジェット液とマイクロバブルによる砥粒効果によって液溜まり内部が削られ,破砕が進行するメカニズムが明らかとなった.さらに,皮弁移植の際に必要になるレジストレーションについて,従来システムを改良し,評価実験を行った.共同研究機関であるがん研究有明病院にて,乳房再建術中支援システムにおけるプロジェクションマッピング機能について観察研究の枠組みとして手術場における運用評価を行った.三次元計測装置KinectV2にて計測した乳房形態の3Dデータの解析と,形状差を色情報としてプロジェクションマッピングする一連の操作が手術現場でも安定して実行が可能なことが確認できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度に計画していた ・アプリケータのバブル混入小孔加工設計はジェットメス先端より3mmの位置にφ0.3mmのバブル混入用の孔を開口することで最も効率的に微小バブル混入とジェットメス破砕力の両立を実現することを明らかにした. ・レーザーパルスジェットメスへの輸液送りと,レーザ出力を最適なスピード,量に設定するシステムを構築した.さらに高速度カメラを用いた評価実験において,空撃ち現象を抑制するだけでなく,輸液量が少ないタイミングでレーザ印加されたパルスジェットと,その後輸液量が多いタイミングでレーザ印加されるという組み合わせにおいて先行するパルスジェットを,後のパルスジェットが追い抜き,結果的に対象に当たる前に威力が相殺されてしまう現象をも抑制できることが示唆された. ・in vitro環境での脂肪組織破砕については,まずはブタ脂肪組織にてバブルジェットの射出効果を確認し,通常のパルスジェットメスに比べ,バブル型パルスジェットメスの方が破砕組織量,浸透するジェット液の量共に増加することが確認できた. 以上の3項目について着実に実施を完了し,次年度へ向けた研究開発方針が明確化された.
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Strategy for Future Research Activity |
皮弁組織の血流動態を可視化するOpmapソフトウエアの改良を行う.事前の基礎的検討により,呼吸動や体動,その他の影響によって計測する組織が動いてしまうと,画像処理の際にモーションアーチファクトとしてノイズが乗ることが明らかとなっている.このノイズ対策として,物理的に組織を固定する固定具の製作と,非剛体レジストレーションを用いたソフトウエア的なアプローチの両面で取り組むことを検討している.非剛体レジストレーションを適用する際,アルゴリズムの仕様上,本来の目的として計測したい肌の微妙な色調の変化を,ノイズとしてとらえてしまいモーションアーチファクトの除去が十分行えない問題が先行研究より示されている.我々は肌の色調変化を損なわないように,動き情報だけを除去するための画像フィルタを新たに開発し,非剛体レジストレーション処理の前段階に挿入することでこの課題を解決する予定である.改良したソフトウエアを用い,血流動態の可視化に必要な閾値設定を統計的処理によって導出する予定である.非剛体レジストレーションと最適色調変化パラメータを組み込んだ新たな血流動態可視化ソフトウエアOpmapの医学的な妥当性評価には,分担研究者である形成外科専門医による医学的知見に基づいた評価を行い,チューニングを行う予定である.
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Research Products
(6 results)