2020 Fiscal Year Research-status Report
レーザパルスジェットメスと血流画像計測を用いた形成外科皮弁形成術術中支援システム
Project/Area Number |
19K12764
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
荒船 龍彦 東京電機大学, 理工学部, 准教授 (50376597)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鷲尾 利克 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (40358370)
矢野 智之 公益財団法人がん研究会, 有明病院 形成外科, 部長 (40537304)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | パルスジェットメス / 形成外科 / 乳房再建 / 手術支援 / プロジェクションマッピング |
Outline of Annual Research Achievements |
再建術における移植皮弁組織の血流状態を把握するため,皮弁組織の血流動態を可視化するOpmapソフトウエアの改良を行った.具体的には,呼吸動や駆血解除に伴う解放感から無意識に身体を動かしてしまう体動,その他の影響によって計測対象領域が動いてしまい,画像処理の際のモーションアーチファクトが生じてしまう.そこでまず第一に血流に変化を及ぼすほど圧迫させない程度に足を固定する固定具を製作した.第二にソフトウエアの画像処理としてモーションアーチファクトを除去する手法として,非剛体レジストレーションアルゴリズムを用いて,計測した全てのフレーム画像を基準となる画像の形状に合わせて変形させるソフトウエアを開発した.非剛体レジストレーションをそのまま適用すると色情報が失われる場合があり,空間フィルタ処理をした上で画像変形行列のみ抽出し,色情報を保ったまま再度画像の変形を行う手法を考案し,ソフトウエアに実装した.第三にその手法を用いても本来は変化しない色が変化したり,またその逆で血流変動に伴って皮膚表在の色情報が変化しても変化差分が消失してしまう可能性を排除するため,カラーチャートマップを駆血する足と共に同時に撮影して基準に用いることで,画像処理アルゴリズムによって画像全体の意図しない色調変化を抑制する機能をソフトウエアに実装した.改良したOpmapソフトウエアを用いて健常者を被験者とした人間工学計測を行い,画像処理パラメータの最適化を行った.また分担研究者である形成外科専門医によって得られた血流変化画像の医学的な妥当性について評価を受け,健常者の足趾血流分布や駆血解除に伴って得られる変化の妥当性について確認を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度に計画していた ・血流計測時の被験者の足趾固定具製作 ・Opmapソフトウエアに,体動に伴うモーションアーチファクト除去機能を実装 については完了し,人間工学実験によってその妥当性評価を行うことができた. また上記ソフトウエア改良時に明らかとなった,非剛体レジストレーション処理に伴って意図せず色調変化が生じる問題も,空間フィルタを併用することでその課題を解決できたことで,術中支援時に用いる画像処理ソフトウエアはの機能についてはほぼ完成状態に出来たと考える. 一方,コロナ禍により,糖尿病由来の難治性潰瘍患者での計測,手術室へ開発機材を持ち込んでの術場動作検証は行うことが出来なかったため,次年度以降の課題とした.
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Strategy for Future Research Activity |
in silicoシミュレーションモデルによる皮弁移植時の脂肪組織破砕時のレーザーパルスジェットメスの出力強度設定と,実際の脂肪組織でのジェットメス破砕の比較によってin silicoモデルの妥当性検証を行う予定である. また新たに製作した足趾固定具や計測カメラシステム,PCなどを実際の手術現場に持ち込んでの動作検証実験を行い,術場での使用に耐えうる設計となっているか分担研究者の形成外科医と共に検証を行う予定である. また,これまでに開発した血流動態可視化ソフトウエアOpmapを用いた,難治性潰瘍患者の足趾血流動態の計測と解析を行い,最終的に開発したシステムの医学的な妥当性検証を行う予定である.
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