2020 Fiscal Year Research-status Report
単一箇所での電気的筋刺激により全身の骨を強化する新手法の開発
Project/Area Number |
19K12778
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
田中 茂雄 金沢大学, フロンティア工学系, 教授 (20262602)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 電気的筋刺激 / 骨粗鬆症 / 後肢懸垂ラット |
Outline of Annual Research Achievements |
電気的筋刺激により骨質を維持・促進させる方法は、身体的能力が劣る高齢者にとっても実行可能で安全な骨粗鬆症の予防法となり得る。骨粗鬆症モデルとして使用する後肢懸垂ラットにおいては、尾部を吊るすことで後肢への荷重を取り除き、骨の力学的適応により骨粗鬆症状態を作り出すものである。一方で、尾部を吊るすことがラットにとってストレスとなり、それが骨密度へ影響を及ぼすことが問題であった。そこで本年度においては、尾部を懸垂しない新たな低ストレス動物モデルの開発を行った。本研究では、体幹全体を懸垂することで後肢への重力不可が取り除かれる新しい骨粗鬆症ラットモデルを考案し、同モデルにおけるストレス度をショ糖嗜好性試験により調査した。実験には7週齢の雌のSDラットを使用し、体幹懸垂ラット群、移動制限ラット群、通常飼育ラット群の3群に分け、毎日の濃度1%のショ糖水溶液の消費量を観察した。通常飼育群と比較して、ショ糖嗜好性は移動制限ラット群において低下する傾向がみられたものの、体幹懸垂ラット群では変化がなった。以上の結果、体幹懸垂ラットは通常飼育ラットと同等のストレス度であり、ストレスの影響を受けにくい骨粗鬆症動物モデルとして期待できることが分かった。すなわち同モデルを使用することにより、電気的筋刺激の効果についてストレスの影響を受けない適切な評価を行うことができ、これにより同手法の効果や実現可能性についてのより正しい理解が得られる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の目標は、「ランダム電気的筋刺激の遠隔的効果に神経系が関与していることを神経切断の導入により明らかにすること」であったが、コロナ禍のため学生の登学や実験室の使用が制限されたため、計画通り実行することが困難であった。そのため、年度後半の限られた時間において実施可能な実験として、以前より懸念されていた実験モデルの妥当性の検証を行うこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度が最終年度あるため、今年度実施できなかった「ランダム電気的筋刺激の遠隔的効果に神経系が関与していることを神経切断の導入により明らかにすること」については行わず、本課題の最終目標である「ランダム電気的筋刺激の遠隔的効果における骨強度変化は骨コラーゲン架橋によるものであることを明らかにする」について、今年度開発した新しい骨粗鬆症モデルである体幹懸垂ラットを使い実験的検証を行う予定である。
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Causes of Carryover |
少額のため予算執行が難しかったためであり、次年度において本研究課題の推進に使用する。
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