2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of novel ligands for in vivo imaging of amyloid oligomers in the brain of Alzheimer's disease
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19K12780
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
田口 弘康 滋賀医科大学, 神経難病研究センター, 特任教授 (90102912)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳沢 大治郎 滋賀医科大学, 神経難病研究センター, 准教授 (50581112)
加藤 智子 滋賀医科大学, 神経難病研究センター, 特任助教 (90754367) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アミロイドβオリゴマー / アルツハイマー病 / 画像診断法 / フッ素MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までにフッ素含有ケト型クルクミン誘導体Shiga-Y51がアミロイドβオリゴマーに選択的に結合することをQCMを用いた解析によって明らかにした。そこで本年度はアルツハイマー病遺伝子改変モデルマウスを用いて、in vivo脳内におけるShiga-Y51のアミロイドβオリゴマーへの結合性について検証するとともに、フッ素MR画像化試験を実施した。 アルツハイマー病遺伝子改変モデルとしてAPP/PS1マウスおよび野生型マウスの尾静脈にShiga-Y51(200 mg/kg)を投与し、30分後に脳を摘出した。脳切片を作製してイメージング質量分析を実施したところ、APP/PS1マウス脳内のアミロイドβ蓄積領域に一致してShiga-Y51の局在が認められた。また、脳領域ごとのShiga-Y51の検出量は抗アミロイドβオリゴマー抗体による免疫組織化学染色の陽性面積と正の相関を示した。これらの結果から、Shiga-Y51はAPP/PS1マウス脳内のアミロイドβオリゴマーに結合することが示唆された。 次いで、フッ素MR画像化試験を実施した。Shiga-Y51(200 mg/kg)を野生型マウスおよびAPP/PS1マウスの尾静脈に投与し、7 T実験動物用MR装置を用いてフッ素MRを測定した。投与後100分経過時点から50分間測定したフッ素ケミカルシフトイメージングにおいて、野生型マウスでは眼および耳周辺にフッ素MR信号の集積が認められた。一方、APP/PS1マウスでは、眼および耳周辺に加えて、大脳皮質や海馬に相当する領域にもフッ素MR信号の集積が認められた。脳内アミロイドβオリゴマー量をELISAにより測定したところ、APP/PS1マウスでフッ素MR信号の集積が観察された脳領域では他の領域に比べて高濃度のアミロイドβオリゴマーが検出された。以上の結果より、Shiga-Y51を用いたフッ素MRIによって、アミロイドβオリゴマーの検出に成功したと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた通り、in vivo脳におけるアミロイドβオリゴマーへの結合性の検証とフッ素MRIによるアミロイドβオリゴマーの検出を実施した。そして、これらの研究について2報の論文を発表した。以上より、当初計画はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
Shiga-Y51を用いたフッ素MRIによるアミロイドβオリゴマーの検出法をさらに検証するために、アミロイドβオリゴマーのみが脳内に蓄積するAPP-Osaka変異マウスを用いてShiga-Y51のフッ素MR画像化試験を実施する。 フッ素MR画像化試験において、Shiga-Y51を用いた場合、眼および耳周辺に非特異的な信号が出現することが認められた。これを回避するための工夫を施した化合物の改良にも取り組む。具体的には、これまでの研究から、眼および耳周辺の非特異的な集積の原因は、疎水性の高い化合物が局所の脂質に取り込まれるためであることがわかっている。そこで、Shiga-Y51を親水化することで非特異的な信号の出現の克服に取り組む。さらに、Shiga-Y51の治療薬への応用を見据えて、アミロイドβオリゴマーの神経毒性をShiga-Y51が抑制できるかどうかを検証する予定である。
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Causes of Carryover |
イメージング質量分析およびMR画像化試験の実施において、Shiga-Y51の使用量が当初想定していたよりも少ない量で実施できたため、合成用試薬等の費用が少額となったため、次年度使用が生じることになった。次年度はMR画像化試験に加え、化合物の修飾や治療効果(アミロイドβオリゴマーの毒性軽減による治療効果)の検証を新たに実施する。当初よりも多くの合成用試薬の使用が予定されるため、予算の計画的な使用に努める。
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Research Products
(4 results)