2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of a silver-coated spinal implant
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19K12786
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
森本 忠嗣 佐賀大学, 医学部, 講師 (10448467)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 比呂志 佐賀大学, 医学部, 教授 (40229894)
東藤 貢 九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (80274538)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 脊椎椎体間ケージ / インプラント / 抗菌 / 骨癒合 / 安全性 / ラット前方アプローチ |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請研究の目的は、我々がこれまで長年、人工関節(股・膝)用に開発・研究してきた銀-ハイドロキシアパタイト(銀-HA)複合体を金属インプラントへ表面加工するという優れた技術を脊椎椎体間固定用ケージ(『銀-HA複合体』ケージ)に応用する。動物実験(ラット)にて、腰椎椎体間固定術における『銀-HA複合体』ケージの骨癒合能(骨伝導性)および安全性を検証することである。 すなわち本申請研究は、脊椎椎体間固定術において『銀-HA複合体』ケージが新たな医工学的器具と成り得るか否かについて明らかにし、臨床応用への可能性を探る基礎的研究である。 初めの2年間は動物実験(ラット)にて基礎研究と画像解析によるデータ集積を計画していた。ラットでの腰椎椎体間固定モデルは、未だ報告がなく、初年度は、ラットの経腹膜的前方アプローチおよび試作品の腰椎椎間板ケージの挿入、プレートでの固定の予備実験を複数回行い、ラットでの腰椎椎体間固定モデルを確立できた。また、実験課程でラット用の腰椎椎間板ケージのサイズと形状も決定し、京セラメディカル(株)に依頼して本実験にて使用する「チタンケージ」「HAコーティングチタンケージ」「3%銀-HAコーティングチタンケージ」の3種類のケージが作成した。予備実験の画像検査により良好な骨癒合が確認できた。 2020年度より本実験を行い、単純X線、マイクロCTおよび病理学的検査から骨癒合評価、神経学的検査および病理学的検討による神経毒性の評価を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ラットでの腰椎椎体間固定モデルは、未だ報告がなく、また、当教室でこれまでラットの脊椎を扱った経験はなかったため、まずラットの解剖と経腹膜的前方アプローチについて習熟した。同時に本実験にて使用する「チタンケージ」「HAコーティングチタンケージ」「3%銀-HAコーティングチタンケージ」の3種類のケージの形状やサイズについて京セラメディカル(株)と相談し準備をすすめた。2019年1月より予備実験を行い、ラットの腰椎椎間を展開、径を測定し、事前に設定した数種類の形状のケージの中から使用するケージのサイズを1.5×1.5×3mmの四角柱状と決定し、京セラメディカル(株)に作成を依頼した。その後、予備実験を重ね、ラットの前方アプローチに習熟した。 手術では、L3/4椎間板腔を掻爬し、上記のケージを挿入後、上下椎体をチタンプレートおよび2mmのスクリュー2本で固定する。ケージの挿入と金属による上下椎体の固定は可能であったが、術後に両下肢の運動麻痺例や死亡例が散見された。展開での腸腰静脈の確実な結紮と椎体左右の展開を最小限にして手術侵襲を低減下することで、術後の麻痺と死亡の問題は克服できた。また、椎体間ケージの脱転例も問題となり、より深部へのケージ設置と確実なプレート固定で脱転の問題も解決した。摘出検体(椎体)におけるCT画像検査および病理組織検査より、予備実験における骨癒合は確認できた。さらに、銀を留置することによる神経への影響も病理組織検査で評価予定である。 ラットでの腰椎椎体間固定モデルは、未だ報告がなく、モデル確立に時間を要したが、今年度は、予定していた本実験に移行する。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度の本実験予定は下記のとおりである。チタンケージ群、HAコーティングチタンケージ群、3%銀HAコーティングチタンケージ群にわけ、事前統計分析により、本研究に適切なサンプルサイズを1群22匹、合計66匹と設定した。腹腔内麻酔後に正中切開を加え、腰椎椎間板腔にアプローチし、椎体間ケージを挿入後に上下椎体をチタンプレートおよび2mmスクリュー2本で固定する。 術前および術後1、2、4、6、8週で神経学的検査(toe pinch testおよびinclined plane test)を行い、運動・感覚障害を評価する。同時に術後1、2、4、6、8週で各群2匹ずつ単純X線およびマイクロCTでの画像評価を行う。術後8週をエンドポイントとし、全てのラットを安楽死させ、画像評価に加えて、各群より数匹を対象として病理組織検査を行い、矢状断でケージ周囲の椎体の骨癒合、軸状断で銀による神経への影響(浮腫、壊死など)を調査し、骨癒合および神経毒性について3群間での統計学的検討を行う。 また、随時、学会発表にて様々な研究者と討議を行い、実験の洗練化を図る。また最終年度は上記内容の追加実験、研究内容のまとめ、英語論文の作成を行う計画である。
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Causes of Carryover |
ラットでの腰椎椎体間固定モデルは、未だ報告がなく、モデル確立に時間を要した。そのため、予定よりも実験計画が遅れ、次年度使用額が生じた。本実験に使用するラット、インプラント、麻酔薬や灌流固定用の薬品、データ解析機器(CT-FEM)の更新料、病理組織診断の経費、学会参加費・旅費、研究協力者の謝礼として使用する予定である。
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