2021 Fiscal Year Research-status Report
フェムト秒光パルス列重なり変調による2光子光音響顕微鏡の開発
Project/Area Number |
19K12787
|
Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
山岡 禎久 佐賀大学, 理工学部, 准教授 (80405274)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 光音響イメージング / 非線形光学 / フェムト秒パルスレーザー / 2光子吸収 / 重なり変調 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は代表的な非線形光学現象の1つである2光子吸収と光音響顕微鏡を組み合わせた方法(TP-PAM)を開発してきた.この方法では,2光子吸収により光学的に空間分解能が決定される.通常の光音響イメージングでは生体内伝搬距離が短いGHz近傍の高周波光音響波を光学的空間分解を得るためには使用しなければならない.しかしながら,TP-PAMで低周波光音響波の検出であっても高空間分解能化が可能であり,深部観察に有利な方法である.ただ,焦点以外の信号の混入がコントラストを悪くしてしまう問題があり.それを解決するために,本研究では重なり変調と2光子光音響顕微鏡を組み合わせた方法を提案している. 令和元年度(初年度)には,2光子吸収溶液に対して,発生する2光子蛍光,光音響波を測定した結果,重なり変調周波数と同じ周波数で変調された蛍光,光音響波が発生していることを明らかにした.また,深さ方向の試料エッジを描出できることが分かった.令和2年度(2年度)には,マイクロメーターサイズのピンホールを使い,2つのビーム重なりの最適化を行った.令和3年度(3年度)は,光学系の最適化をもう一度行い,2光子蛍光による重なり変調のコントラスト向上,偏向角の最適化を行うことができた.しかしながら,重なり変調による光音響波信号を十分に発生,測定することができなかったため.来年度は,再度光学系,検出系を見直し,それぞれの最適化を再度行う.その結果,観察深さを向上させた高空間分解観察が可能であることを示す.実際の生体に対しても測定を行い,装置の性能を評価を行う.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
重なり変調による光音響波を発生させるために,光学系,検出系を最適化することが必要である.しかしながら,その最適化に時間がかかり,現在,2光子光音響波を十分発生させることができていない.その結果をもとに測定装置の構築を行うため,研究の進捗がやや遅れている.
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策として,1) 重なり変調のための光学系再調整,2) 光音響波検出のための音響系再調整,3) 光パルス波形の最適化を行う.その結果をもとに,横方向,深さ方向のコントラスト,空間分解能評価を行う.試作,改良した光音響イメージングシステムを用いて,生体ファントムや実際の生体に対して測定を行い,性能評価を行う.また,新たに問題が生じた場合,更なる装置の改良を行う.
|
Causes of Carryover |
2光子光音響波が十分に発生させることができていないため,画像化まで装置の構築,改良がやや遅れている.そのため,その構築,改良のために必要な物品の選定,購入が遅れており,次年度使用額が生じた.
|
Research Products
(12 results)