2019 Fiscal Year Research-status Report
異種動物間の組織形成クロストーク解析に基づく皮膚付属器再生原理の解明
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19K12794
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
片岡 健 岡山理科大学, 理学部, 教授 (10293317)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 皮膚 / 付属器 / 毛嚢 / スフェロイド / 組織形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題はマウスとニワトリの胎児皮膚より調整した異種動物細胞をハイブリッド移植することで、組織形成時のクロストークを詳細に解析することを目標としている。 2019年度はマウス妊娠16日目の母体より摘出した胎児マウスの皮膚を採取し、ディスパーゼ処理により表皮組織と真皮組織を分離した。さらに表皮組織はディスパーゼ処理の継続、真皮組織はコラゲナーゼ処理を行うことにより組織から単一細胞を回収することができた。回収された表皮組織由来単一細胞のみ(E)と真皮組織由来単一細胞のみ(D)及びその混合細胞(E+D)を浮遊培養しスフェロイド作成を試みたところ、培養3日でスフェロイドが形成された。このスフェロイド内で表皮幹細胞のマーカーであるCollagen 17の発現を確認したところ、培養3日目ではE+Dが最も強く、次いでDに強い発現を認めた。EではCollagen 17の発現はほとんど認められなかった。形成されたスフェロイド(E+D)をヌードマウスに移植したところ、毛嚢形成が認められた。すなわち表皮幹細胞をin vitroの培養系で維持し、生体に戻して付属器形成をさせたることに成功した。しかし形成された毛嚢は方向が不規則で、また最終的にわずかしか発毛していなかったため、今後は付属器形成能の高いスフェロイドを作製する培養方法を開発する必要がある。 一方で、ニワトリ胎仔由来細胞を用いてスフェロイドを作製する実験を予備的に行ない、表皮細胞及び真皮細胞の分離と回収には成功しているが、スフェロイド作製には至らず今後は培養方法を改善することを検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題の目的である異種動物由来の細胞培養として、マウスとニワトリの皮膚細胞をそれぞれ分離・培養することで一定の進捗は見られたが、混合培養しその付属器形成能を評価するまでには至っていない。今年度以降は本研究の中核的な実験を進める方針である。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は本研究の中核的な実験を実施する方針である。すなわちニワトリ由来付属器幹細胞を標識した後に、マウスの表皮細胞・真皮細胞とともにin vivoマウス皮膚形成モデルを用いてハイブリッド移植する実験、及びニワトリとマウスを入れ替えた実験を行う予定である。
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Causes of Carryover |
動物実験の回数が予定を下回ったため繰越金103,637円が生じ、次年度に使用することとした。使用計画については変更なく、実験動物(マウス・ニワトリ)の購入費用とする予定である。
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