2019 Fiscal Year Research-status Report
光増感剤内包型アップコンバージョン粒子を活用した細胞深部がん治療の展開
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19K12813
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Research Institution | Yonago National College of Technology |
Principal Investigator |
粳間 由幸 米子工業高等専門学校, 物質工学科, 准教授 (70442457)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小沼 邦重 京都大学, 医学研究科, 研究員 (90597890)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 光増感剤 / 光線力学療法 / 近赤外 / アップコンバージョン / ナノ粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
光を用いたがん治療に光線力学療法がある.麻酔を行わず治療ができる点がメリットであるが,課題は細胞深部にがん細胞がある場合,本治療は難しい.治療効果の向上が課題となっている.現在の光線力学療法の課題ともいえる細胞深部のがん細胞への光線力学療法の適用については未解決な課題が残る.弱い光エネルギーを強い光エネルギーに変換するアップコンバージョン法を用いて光線力学療法の課題克服に挑戦する.初年度は,近赤外光980nmから450nmの光へアップコンバージョン可能なアップコンバージョンナノ粒子(UCN)の作製を行った.UCNは複数の光子の連続励起による逆ストークスシフトにより長波長低エネルギー光を短波長高エネルギー光に変換することができる。通常Yb(イッテルビウム),Er(エルビウム),Tm(ツリウム)などのアクチニド,ランタニドイオンにより構成されるUCNは,大きな逆ストークスシフト,鋭い放出バンド幅,高い光安定性からバイオイメージングやナノキャリアとしての応用が行われている.また近赤外対応型光増感剤の開発と同時に,細胞深部でNIR光を可視光に変換できるUCNは単なるキャリアとして機能するだけでなく細胞深部に存在する腫瘍細胞に対してPDTの適応範囲,治療効率を上げられることが期待されている.本研究ではY,YbそしてTmをコアに用いた光増感剤含有UCNを調製し,980 nmの近赤外光を475 nm,450 nmの可視光への変換を可能とすることで,光細胞毒性の向上を測った.TEMを用いて試料の確認を行ったところ,期待するUCNの像を確認することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の目標である糖含有光増感剤含有ナノ粒子の調製については、Y(イットリウム)、そしてアップコンバージョンを起こすYb(イッテルビウム)、Tm(ツリウム)を用いて実験を行い、細胞親和性を高めるためにシリカでコーティングを施し作製することに成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度に,アップコンバージョン 粒子の調整を行うことができた.2020年度は,前年に調整した粒子を細胞に導入し,980 nmの光を照射し,近赤外光を用いたがん細胞内における一重項酸素発生条件の最適化を行うことで量子収率など最適な実験系を見出す.最終年度では,実際にがん細胞を利用してアップコンバージョン法について詳細な実験を行うことを計画している.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた大きな理由としては,研究の進捗が思ったよりも順調に進んだこともあり,各種試薬購入費について予定金額よりも大きく差が出たことがあげられる.この金額を2020年の研究内容である一重項酸素発生条件の検討に活用したいと考えている.
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Research Products
(6 results)