2020 Fiscal Year Research-status Report
Quality assurance method for the accumulation of radiotherapy dose with deformable image registration
Project/Area Number |
19K12818
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
武村 哲浩 金沢大学, 保健学系, 教授 (70313674)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 直樹 藤田医科大学, 保健学研究科, 准教授 (00549884)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 変形画像照合 / ゲル線量計 / 放射線治療 / 線量合算 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,放射線治療における変形画像照合技術(Deformable image registration: DIR)を用いた線量合算の精度評価手法を確立することである. 撮影時期, 体位もしくは体型の異なるCT画像で作成された複数の体内線量分布から合計の線量分布を求めるため変形画像照合が用いられる. 変形画像照合技術による放射線治療の線量合算精度の評価手法の確立に向けて, 現在ゼリー状で変形可能なゲル線量計を用いて研究を進めている. ゲル線量計はゼリー状で線量に伴って変色したりポリマー化する特性を用いた線量計である. そのため, 合算線量の精度測定に有用な線量計である. 2020年度は新型コロナの感染拡大対策で病院機器を使用した実験が多く制限された中で,以下の内容について検討した. まず, 酸素によりポリマーゲル線量計の感度がなくなることに関して, この研究の目的とする線量合算の精度検証において, 変形できる容器でかつ酸素を遮断できる必要があるが, 両方を満足する封入容器はない. そのため, 変形できる容器で保存時に酸素遮断できる溶液につけて保存することで,上記条件を満たすものを検討した. 結果, 亜硫酸ナトリウム溶液にゴム製容器に封入したゲル線量計を保存することで, 十分な感度を有したまま線量測定ができた, また, ポリマーゲル線量計を変形した際に, 変形のための圧力により磁気共鳴画像装置(MRI)で読み出されるゲル線量計のT2値に変化があるかを調べた. DIRを用いた吸収線量の合算精度を検証するために, ゲル線量計を変形させて線量測定する手法を検討している. 変形は外力により変形させることを想定しており, 加圧により信号地が異なるとその信号値から線量に変換するため, 得られる線量が不正確になる. 結果として, 加圧による影響は見られず問題ないことが確認できた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナ感染拡大防止対策として,附属病院の方針として部外者の立ち入りを制限したことから, 病院の医療用直線加速器が使用した実験が昨年度初めから2,3ヶ月不可能になった. また再開できるようになった時点でも, 県外をまたぐ移動を行った際には2週間立入禁止となり, 大学院生を伴った実験に日程的な制限がつくこととなった. また,実験に使用している附属病院の医療用直線加速器の更新も予定されていたので,当初の予定では春から夏にかけて多くの実験を計画していたが,それもできなくなり, 秋以降直線加速器の更新になり, すでに更新済みの1台の空き時間を確認しつつ行うため限られた実験実施機会となった. 立ち入り制限が,コロナ感染が少し落ち着いた秋あたりに一時緩和されたことで実験が実施でき実施概要のような成果が得られた. 現時点も, 冬場に第3波となり現在第4波となっているなか, 病院機器を使わずに実験できない以上, その影響は今年度もあることが予想される.
|
Strategy for Future Research Activity |
この研究で計画している実施項目は, 骨等価ゲル開発, ゲル線量計の酸素による感度消失に対する対策, 合算線量評価のためのゲル容器の確立, 合算線量精度の評価方法の確立であるが, 未実施の項目は, 合算線量評価のためのゲル容器の確立, 合算線量精度の評価方法の確立である.研究推進において, 今後もコロナ感染拡大に対する対策で病院への立ち入り制限は十分あり得るため, 実施可能なものから実施していく計画とする. 2021年度は, 合算線量精度の評価方法の確立を目指して, 遅れている合算線量評価のためのゲル容器の確立を行う必要がある. 現時点までに得られた酸素による影響を減らす方法を踏襲し, その効果を削減してしまわないような容器機能としつつゲル線量計の変形を任意にできる必要がある. 外部からの力で変形させる必要があり, かつ放射線による線量分布に影響しない構造が必要となるため, 可能な限り早急に設計を行い, 実験機会を逃さないように務める. 並行して, 骨等価ゲル線量計を包含したゲル線量計の作成手法の検討も行い内部にコントラストの異なる部分を持ったゲル線量計の開発をおこなう. コントラストがあることでDIR実施しやすくなり, 均一な信号を持つ場合だけでなくコントラストのある物体が写っている場合においても評価できるようになる. これらができることで, DIRによる線量合算の評価が可能となり実際の放射線治療計画を用いた線量合算を評価することでその妥当性を示す計画である. 今年度が研究最終年度であるため, 遅れている分をできるだけ取り戻すよう可能な限り実施していく.
|
Causes of Carryover |
コロナ感染拡大対策により附属病院での実験が制限され, 研究計画が遅れたことが大きな理由となる. 本来, 2020年度にゲル線量計を封入し, 変形できるファントム容器の開発をする予定であったが, その計画が遅れたことで容器作成費用が繰越となった. また, 研究成果発表で国際学会への参加を見込んでいたが, それも多くがオンライン開催となり, また国内学会もまた同様であったため旅費が多く未使用となった. 今年度, 同様なことが想定されるが, 対面実施される予定の学会への旅費は計画しつつ, その他は研究計画実施加速に使用する. 具体的には安定したゲル線量計を作成するために研究備品の購入に当てる.それによりゲル線量計作成ミスによる実験失敗を減らせ, 実験機会がすくなるなる場合においても効率的な実験が実施可能となる.
|