2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K12819
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
柿川 真紀子 金沢大学, 生命理工学系, 准教授 (10359713)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 外史 公立小松大学, 生産システム科学部, 教授 (80019786)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 交流磁界 / 薬剤作用 / 多剤耐性がん細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでにヒト子宮肉腫細胞株MES-SAと、その多剤耐性細胞株MES-SA/Dx5における3種の抗がん剤(ドキソルビシン、ダウノルビシン、シスプラチン)作用への60 Hz, 50 mT磁場曝露影響を測定した。MES-SA/Dx5細胞株はドキソルビシン、ダウノルビシンには耐性を示すが、シスプラチンには耐性を示さない。 その結果、MES-SA細胞への交流磁場とシスプラチンの併用曝露群では、シスプラチンのみ群よりも細胞生存率は減少し、磁場によるシスプラチン作用の増強が見られた。またMES-SA/Dx5細胞でも磁場曝露によるシスプラチン作用の増強が見られ、MES-SA細胞と同程度の影響であることが示された。一方、ドキソルビシン、ダウノルビシンの結果では、MES-SA細胞において磁場による各薬剤の作用増強が見られたが、MES-SA/Dx5細胞では、MES-SA細胞に比べて薬剤作用の増強率は低く、磁場影響は小さいことが明らかとなった。 多剤耐性細胞株MES-SA/Dx5は細胞膜で薬剤等の排出ポンプとして働くことで知られるp-glycoproteinを過剰発現しており、p-glycoproteinが細胞外へ排出する物質にはドキソルビシン、ダウノルビシンが含まれる(シスプラチンは含まれない)。このため、MES-SA/Dx5細胞では過剰発現したp-glycoproteinが細胞内に入り込んできた抗がん剤ドキソルビシン、ダウノルビシンを細胞外へ排出するように働くため磁界の影響は小さくなったと考えられる。これらの実験結果より、ヒト子宮肉腫細胞MES-SAでは使用した3種の抗がん剤いずれにおいても60 Hz, 50 mT 磁場により細胞内への取り込み量が増加し、それによって作用増強を示すことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト子宮肉腫細胞MES-SAおよび、その多剤耐性細胞MES-SA/Dx5における3種の抗がん剤作用における交流磁場曝露の影響を測定し、結果の再現性の確認、統計処理も行い、計画どおりに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞膜電位への交流磁場影響についての実験にも着手しており、本研究の目的である交流磁場曝露による薬剤作用への影響メカニズムの解明に向けて、今後さらに測定を進める。
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