2019 Fiscal Year Research-status Report
左室血流解析画像を用いた心不全診断イメージング法の確立
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19K12821
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
増田 佳純 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (20533293)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅沼 俊彦 大阪大学, 医学系研究科, 招へい教授 (80379271)
中谷 敏 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (80393221)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 心不全 / 超音波医学 / 左室内血流ベクトル / 拡張能 |
Outline of Annual Research Achievements |
心不全はすべての心疾患の終末的な病態で、その生命予後は極めて悪く、よって心不全の早期診断、早期治療は生命予後の観点からも重要である。新しく開発されたvector flow mapping(VFM)は、左室内の詳細な血流動態を非侵襲的に解析することができるため、左室駆出率などの従来指標では評価できなかった異常を検出できる可能性があり、心不全の早期診断を容易にすることが期待されている。さらに、弛緩期における左室内の圧較差は左室流入血流に関係しており、心機能を評価できる有用な指標であると考えられている。通常、圧較差はカテーテルを用いて侵襲的に計測されるが、VFMを用いることで、カラードプラ画像から心室内の相対的な圧較差を非侵襲的に定量評価することが可能である。 平成31年度は、心不全のモデルにおいて、左室内圧較差を非侵襲的に評価し、心機能との関連性を検討することを目的とした。 麻酔開胸犬(13頭)を用いて、頸動脈よりカテーテルを冠動脈入口部に挿入し、エコーガイド下で左冠動脈起始部からマイクロスフェアを段階的に注入することで重症度の異なる心不全モデルを作製した。重症度は左室拡張末期圧にて分類した。心不全モデルにおいては、拡張期左室内圧較差は重症度に応じて減少し、拡張末期圧、左室駆出率、左室圧下降脚の時定数(tau)と良好な相関関係を示した。心不全モデルにおいて、弛緩期における左室内圧較差の低下は血液流入動態の異常を反映している可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成31年度は重症度の異なる心不全モデルにおけるVFM指標の解析を行った。左室の大きさや収縮力の変化に伴って、左室内圧較差が変化することがわかった。重症度の異なる心不全を作成するのに時間を要したが、安定したモデルが作製できるようになった。現在は従来のエコー指標だけでなく、左室のねじれ指標との関連も検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
動物実験は当大学の動物実験規程に基づき実施される。人工呼吸器管理下の麻酔開胸犬(10頭)において、大腿動脈から左室内圧を測定するカテーテルを挿入し、正中切開し開胸する。前年度のモデルをさらに解析し、従来のエコー指標だけでなく、心不全時には心尖部で血流がうっ滞することに着目し左室のねじれ指標と左室内圧較差の関連を検討する。 また、心不全以外の病態である虚血性心疾患でもVFM指標が有用か検討する予定である。前年度の実験系を用いて、麻酔開胸犬(10頭)を対象として検討を行う。虚血性心疾患モデルは冠動脈閉塞器を左冠動脈前下行枝に装着することで作製する。画像取得はコント ロール、冠動脈狭窄時(軽度、中等度)、閉塞時に行う。前年度の心不全モデルでは左室全体の動きが低下するが、虚血性心疾患は局所の壁運動が低下するものである。心筋局所が障害をうけた場合でもVFM指標が機能すれば臨床上有用であり、新たな知見が得られるのではないかと考えている。
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Research Products
(2 results)