2021 Fiscal Year Research-status Report
癌焼灼療法用発熱材としてのバイオメタルの評価・極小化と焼灼療法器具への応用
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19K12831
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
中村 尚武 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 上席研究員 (10066722)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新田 哲久 滋賀医科大学, 医学部, 非常勤講師 (40324587)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | マイクロヒーター / 生体肝臓 / 超小型化 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、コロナ禍により研究条件は一定の制約を受けたが、結果的にはほぼ計画通り研究を進めることが出来た。 2021年度はマイクロヒーター(MH)の癌焼灼療法用器具への具体的応用をさらに進めた。 先ず、全てのMHを同じサイズのBMXを用いて作成したにも関わらず、その発熱量に若干の差異が生じた件である。これはMH作成時に、通電用リード線とBMXとの連結に極小スリーブを用いたためと考えた。すなわち、極小スリーブ(長さ2㎜、内径0.3㎜)の一方の側から通電用導線を、もう一方の側からBMXの一端を通し、加締めによって両者を連結した。その際、極小スリーブへのBMXの挿入長を一定にすることは、銅製スリーブが不透明であるため不可能である。これがMHごとの有効抵抗値に差異が生じた原因であると判断したので、2021年度の研究実験では導線とBMXの接合に接着剤を使用することにした。 2021年度の目標の1つは申請時の計画通り7フレンチサイズのカテーテルへの装着可能な形状を検討することで、これは2021年11月ごろまでにほぼ完成させる事が出来た。これを用いた生体肝臓実験でもMHの効果を確認する事が出来た。申請時の計画により、当初はカテーテルを7フレンチサイズとしていたが、出来るだけ細い血管にも対応できる方が望ましいので、残りの研究期間内に更なる超小型化を図る計画を立てた。つまり、5フレンチサイズに挑戦することにした。この超小型化に際し、当初、使用する導線の外径を0.05㎜から小刻みに太くして0.2㎜まで替えながら種々検討した。しかし、カテーテルへの装着の際いずれも細すぎて問題があるとの判断に至り、これまで実績がある0.26㎜φに落ち着いた。また、生体肝臓実験を行っていた2022年1月に研究期間延長の申請を行い、3月15日付で承認を得て現在鋭意超小型に挑戦しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度の研究実験も、年度を通してコロナウィルス感染の波にもまれ、感染状況を見ながらの研究実施となった。これらの影響を少なからず受けたため、十分な実験時間、実験環境が確保できたとは言い難いが、それでも何とか前進させる事が出来た。最終年度後半に新しい到達目標として5フレンチに対応可能な「MHのさらなる小型化」を計画し、研究期限までに間に合わせる予定で進めてきた。超小型化には未だ若干の改良点を残しているが、幸い研究期間の1年延長が認められたので、次年度の課題として残された改良点はあるものの、2021年度の研究としては順調に終えることが出来たと判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の研究実績により、最初に、マイクロヒーター(MH)作成時に生じるMHごとの抵抗値のばらつきを改善するために、スリーブに代えて接着剤の使用を計画し、実施する。先ず年度初めに導電性接着剤の使用を試みる。接着剤として各種導電性接着剤を検討し、それらの内比較的高温に耐えるタイプの導電性接着剤を使用することにする。接着剤を使用する部分は、発熱材であるBMXと導線とを結線する場所であるので、そういう意味では一定の高温に耐える必要があるためである。 なお、使用する導線を昨年度の実験により0.26㎜φとしたので、導線とBMXとを結線する際には、導線の先端を予め0.1㎜φ以下に削っておく必要がある。これは、挿入するBMXの内径が0.1㎜のため、それ以下のサイズにする必要があるためである。この削った先端部分を実体顕微鏡下でBMXの内側に差し込み、この部分に少量の導電性接着剤を塗布し、その後乾燥させる。この作業をBMXの両側に実施することでMHの作成を完了する。スリーブを用いた作業など、これまでのMH作成経験と実績により微細加工に対する十分な経験も積んでいるので、この作業は可能であると判断している。また、これまでの予備実験でもその可能性を確認済みである。 期限延長が認められたと言え今年度は最終年度であるので、こうして作成したMHを用いて生体肝臓を用いた実験を行い、申請時の予定より超小型で細い血管にも対応できる5フレンチサイズ対応可能な癌焼灼療法用器具の完成を目指す。
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