2019 Fiscal Year Research-status Report
術中ホログラフィーと視線提示機能を用いた腹腔鏡手術支援教育システムの開発
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19K12836
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Research Institution | 医療法人社団あんしん会四谷メディカルキューブ(臨床研究管理部) |
Principal Investigator |
北川 美智子 医療法人社団あんしん会四谷メディカルキューブ(臨床研究管理部), 外科・内視鏡外科, 医師 (50747384)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 真樹 帝京大学, 付置研究所, 特任教授 (70398733)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Virtual Reality / 手術支援法 / 空間認識能力 / 視線提示機能 / 腹腔鏡手術 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、腹腔鏡下胆嚢摘出術でのVirtual Reality(VR)端末を用いた手術支援法の確立と、VR端末を使用した手術手技トレーニングシステムの開発である。最終的には、腹腔鏡手術時の術中解剖誤認リスクを軽減し、手術の安全性を向上させることを目標としている。 研究初年度は、VR端末を用いた腹腔鏡下胆嚢摘出術を行い,①VR端末によるホログラムでの臓器提示が、従来のCTなどによる平面画像提示よりも術者の空間認識能力を補強し、解剖把握に優れているかどうかどうか。②視線提示機能が術者-助手間の協調性を高め術中安全性の向上に寄与するかどうか.③VRが手術指導や学習に有効かどうかを検討する計画を立てていた。 ところがVR端末(商品名:HoloLens)を購入しようとしたところ、機器のリニューアルに伴い旧型の販売が停止され、新型の発売時期も延期となってしまった。最終的に旧型を中古で入手したが、上記理由により研究開始が大幅に遅れてしまった。 研究を開始すると、他の場所でVR端末を使用した場合よりも、手術室ではVR端末の作動開始までに時間がかかることや、VR端末同士の同期設定にも不具合が生じることが判明した。また、視線提示機能に関しても、実際に術者が注視した部位と視線提示線が指し示す位置に大幅なずれが生じるなど、想定外の事象や問題点が浮上した。そのためそれぞれの問題点の原因を追究し、改善を図った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
①必要物品の購入の遅れ:「研究実績の概要」でも述べた通り、必要物品の購入に当初想定していなかったほどの時間を要してしまった。 ②手術室でのVR端末の動作設定環境:手術室外ではスムーズに行えていたVR端末同士の同期が、手術室という特殊な環境下では時間を要し、研究をうまく進めることができなかった。原因としてWi-Fiの通信状況や手術室内で使用している機器が発する赤外線の影響がしているのではないかと推測された。後日、Wi-Fiの通信状況の改善に伴い、VR設定に伴う時間は若干短縮された。しかしながら、端末の設定に時間を要するものの、研究継続には支障はなく手術室内での準備期間を長くとることで対処することとした。 ③視線提示線と実際の注視部位のずれ:モニター画面など、ホログラム画像以外を注視した場合、視線提示線が指し示す箇所と実際に注視した箇所とに大幅なずれが生じることが判明した。現在改善策を検討しているが、改善困難な場合、視線提示機能を外すことも考慮している。 ④新型コロナウィルス感染症の影響:感染拡大防止のため、感染状況が落ち着くまで研究を一時中断したことも研究の遅れの一因と考える。これらの理由の他、研究代表者の体調不良も研究の進捗に後れをきたした一因と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度実施予定であった、VR端末を用いての腹腔鏡下胆嚢摘出術を行う。そしてVRによる手術支援法が術者の空間認識力の補強に有効であるかどうかを評価検討し、腹腔鏡下胆嚢摘出術でのVR端末を用いた手術支援法を確立させる。
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Causes of Carryover |
当初の研究計画よりも進捗状況が大幅に遅れているため、研究実施に伴う必要な金額の多くが未使用となってしまった。次年度は、今年度実施予定であったVR端末を用いての腹腔鏡下胆嚢摘出術を一定数行い、その結果を検証後、得られた研究成果を学会や誌上に発表する予定である。VR端末を用いた手術を遂行するためには、研究手術に必要なVR画像作成、その画像を3次元画像として空中に映し出すために必要なアプリケーションの作成、そして得られたデータの処理解析や、三次元データの作動状況の検証なども行うために必要なパソコンの購入。そしてVR端末を作動させるために必要な通信費やデータを記憶蓄積させるための媒体などが必要となる。また、研究遂行後に得られたデータは、従来のVR端末非使用手術とを比較検討後に研究成果を各学会や、誌上発表する予定としている。そのため、上記手術に必要な物品費用などに加えて、統計学的な検証や英文校閲。そして学会で研究成果を発表するための旅費を今年度未使用金と次年度分として請求した助成金から使用する予定である。
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