2021 Fiscal Year Annual Research Report
閉塞性腎障害における腎保護性蛋白であるL-FABPの前臨床研究
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19K12838
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
片山 泰章 岩手大学, 農学部, 教授 (70436054)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 洋 岩手大学, 農学部, 教授 (00726606)
宮崎 雅雄 岩手大学, 農学部, 教授 (20392144)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 腎臓 / L-FABP / 腎盂尿 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は猫の実験モデルの確保が困難なため、ラットモデルにおいて代替的に研究を進めた。尿管閉塞解除後の初尿を採取し検討したが、明らかな差異が認められなかったため、腎盂尿中のL-FABPへ視点を変え研究を進めた。 一般獣医臨床で遭遇するネコの水腎症に起因する閉塞性腎障害の進行と尿中L-FABPの関連性を検討するための前臨床研究として、片側尿管結紮(UUO)モデルラットを用いてベラプロスト(BPS)の腎保護効果と腎盂尿中L-FABPの関連性について検討した。本研究では閉塞腎の腎盂尿を尿中L-FABPの評価に用いることにより、直接的に障害腎の腎障害進行の評価を試みた。 UUO群の閉塞左腎の全ての期間において尿細管間質の線維化が観察された。一方、BPS郡では尿細管間質の線維化は観察されたものの、UUO郡と比べると比較的軽度な変化であった。全ての期間において、Sham群の両腎およびUUO群の右腎に顕著な組織学的変化は観察されなかった。 UUO群では尿中L-FABPの測定に腎盂尿を用いた。Sham群では腎盂尿採取ができないため、代謝ケージによる蓄積尿を用いた。Sham郡では観察期間中腎盂尿中L-FABPは平均1.5 μg/g Cre以下で推移した。UUO群ではDay5より上昇しDay14では平均8.1 μg/g Creを示した。一方、BPS投与郡ではDay5では上昇は認められず、Day14においても平均2.8 μg/g Creとなり、UUO郡よりも有意に低値を示した。 以上より、BPSはUUOモデルラットにおいて腎への虚血酸化ストレスの抑制および腎尿細管間質の線維化抑制効果があることが示唆された。また、腎盂尿中L-FABPは閉塞腎障害のモニターに有効な指標になることが示唆された。
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