2020 Fiscal Year Research-status Report
Evaluation of the degree of muscle fatigue to exercise performed by school physical education for children with Duchenne muscular dystrophy
Project/Area Number |
19K12862
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
西澤 公美 信州大学, 学術研究院保健学系, 准教授 (90573379)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 昭則 信州大学, 医学部, 特任教授 (10303471)
濃沼 政美 帝京平成大学, 薬学部, 教授 (50385978)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 血中乳酸値 / 唾液中乳酸値 / 筋疲労 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の状況を受けて,① 唾液中乳酸を使用して本来血中乳酸を測定するための簡易測定器であるLactate Pro 2と検体検査で通常使用されるJCA-BM 8000自動分析装置との収束的妥当性を検討すること(デバイステスト),②高強度運動課題後の血中乳酸値と唾液中乳酸値との関係性を調査すること(高強度運動テスト)を検討することが,2020年度の目標であった. それぞれ結果が得られ,①デバイステストでは,5名の被験者からそれぞれ16サンプルの唾液を採取し計80サンプルに対して,Lactate Pro 2と自動分析装置との間の各被験者のICC(2,1)は0.568-0.763であり,全体としては0.773 (95%信頼区間: 0.678 to 0.844, p < 0.01)であった.②高強度運動テストでは,20名の被験者から血中乳酸と唾液中乳酸の8サンプルをそれぞれ測定した.15名中14名で唾液中乳酸よりも血中乳酸が早くピーク値に到達し,相互相関係数はlag 0で0.535,lag 1で0.750となり,唾液中乳酸が血中乳酸よりも1測定分(5分)遅れて推移した. これらの結果より,①デバイステストでは血中乳酸と唾液中乳酸が比較的高い収束的妥当性を有し,臨床現場でもLactate Pro 2を使用して非侵襲的かつ即時的に唾液中乳酸を評価できる可能性が示唆された.また②高強度運動テストでは,血中乳酸と唾液中乳酸は同時には推移せず,血中乳酸が唾液中乳酸に5分先行することが示された.唾液中乳酸は主として運動によって蓄積した血中乳酸Aが唾液中に放出されるため,運動課題により乳酸の産生が生理学的に異なればその後の唾液中乳酸の挙動にも影響を及ぼすと考えられる. 2020年度において,現行の測定手法とLactate Pro 2の測定値には高い妥当性が確認され,SLAを臨床現場で非侵襲的に測定できることが示唆された.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
デバイスの妥当性と,高強度運動での血中乳酸と唾液中乳酸の関係を検討する過程に時間がかかったため,健常児や筋ジストロフィー児を対象とした研究までは進んでいないが,健常成人を対象としたパイロット研究としてはほぼ完了したと思われる.
|
Strategy for Future Research Activity |
健常児または筋ジストロフィー児にて唾液中乳酸と血中乳酸の関係を検討する. しかしながら,COVID-19の影響を受け,健常成人以外での研究を進めにくい状況にあることと,唾液中乳酸の測定精度がやや低いことが課題であるため,健常成人にて唾液中乳酸測定の精度を上げる方法を模索し,感染対策上,少しでも被験者の拘束時間を少なくするとともに,採取する検体を唾液のみに絞って実施できるよう検討する.
|
Causes of Carryover |
(次年度使用額が生じた理由) 論文が比較的早めに受理されたため,投稿料や掲載料に使用する金額が少なくなったため. (使用計画) 次年度使用額は令和3年度請求額とあわせて消耗品として使用する予定である.
|
Research Products
(1 results)