2019 Fiscal Year Research-status Report
脳卒中麻痺手のテーラーメイドリハビリのためのプログラム作成支援システム
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19K12878
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
森田 良文 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00241224)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田邉 浩文 湘南医療大学, 保健医療学部リハビリテーション学科作業療法学専攻, 教授 (00769747)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | リハビリテーション / トレーニング / デバイス / 手指 / 運動麻痺 / 脳卒中 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は,これまでに慢性期における脳卒中片麻痺者の手指運動機能回復のための3つのニューロリハビリデバイスを開発してきた.リハビリプログラムの3ステップにおけるそれぞれのデバイスが,患者一人一人に適したテーラーメイド治療を可能とするために,それぞれのデバイスから得られる情報に基づき回復効果を向上させるためのリハビリプログラム作成支援システム,およびそのアルゴリズムを開発する.具体的な目的は下記2つである.1.各デバイスの有する機能の設定パラメータを変化させた時,トレーニング中および後の患者の身体状態がどのように変化するのか,それらの関連性を明らかにする.2.回復効果を最大限に発揮するデバイスの設定パラメータの更新アルゴリズムを見出す. 2019年度は,個々のデバイスの改良により,麻痺手の運動機能回復リハビリのための支援システムの基本構成の構築を行った.iPadを用いて設定・計測・通信機能をデバイスに与えることでIoT化を図った.具体的には以下の改良を行った. 1)痙性減弱治療デバイス PFTD:筋電センサのデータ(リハビリ中の痙性麻痺のモニタのため)をiPadで収集してモニタできるシステムを構築した.デバイスに力センサを装着する予定であったが,運動中の計測が困難であることが判明したことから筋電センサのみに方針を変更した.トレーニング前後の手指関節可動域を測定するゴニオメータも開発した. 2)筋収縮促通トレーニングデバイス PARKO:力センサと筋電センサのデータ(トレーニング中の痙性麻痺と発揮力のモニタのため)をiPadで収集してモニタできるシステムを構築した.力センサを用いた負荷抵抗機構の設計までは終えたが,試作は次年度に持ち越しとなった. 3)把握力調整能力評価トレーニングデバイス iWakka:iPadを用いてIoT化し,取得したデータを外部サーバに収集するシステムを構築した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要にも記載したが,以下の実施項目だけ達成できなかった. 2)筋収縮促通トレーニングデバイス PARKO:力センサを用いた負荷抵抗機構の設計までは終えたが,試作は次年度に持ち越しとなった. 理由は,対象者を交えた仕様検討において,対象者による発揮力に関するスペックが想定外に大きかったことから,設計を繰り返したことによる.しかし,2020年度開始と同時に試作を開始できるので,この遅れを取り戻すことは可能と考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は,2019年度で残された実施項目を実行すること,当初計画である脳卒中片麻痺者による被験者実験によりデータ収集を行う.その際,デバイスの機能の設定パラメータを変更しながら被験者実験を行う. 1)痙性減弱治療デバイス PFTD:収集データは治療前後および治療中の総指伸筋と浅指屈筋の筋電位,治療前後の手指関節可動域であり,設定パラメータは往復運動の速度,変位および継続時間である. 2)筋収縮促通トレーニングデバイス PARKO:収集データは総指伸筋と浅指屈筋の筋電位,運動に対する抵抗力であり,設定パラメータは発揮力の方向である. 3)把握力調整能力評価トレーニングデバイスiWakka:収集データは総指伸筋と浅指屈筋の筋電位,把握力調整能力であり,設定パラメータは目標把握力のパターン,機能的電気刺激の周波数と強度である. なお,脳卒中片麻痺者とは,治療入院を終え,麻痺を抱えながらも社会的に健常な人を指す.さらに,2021年度の研究計画である,収集データの解析から支援システムの更新アルゴリズムを開発することも,先取りして併せて実施する.
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Causes of Carryover |
【現在までの進捗状況】で「やや遅れている」の理由として,「対象者を交えた仕様検討において,対象者による発揮力のスペックが想定外に大きかったことから,設計を繰り返したことによる」と記している.これにより,力覚センサの購入が遅れたこと,また新型コロナウイルスの感染拡大防止のため,2月,3月の研究分担者との打ち合わせが出来なかったことなどがあげられる.
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