2020 Fiscal Year Research-status Report
アルティメイトリンクを利用した高機能フォントユニバーサルデザイン
Project/Area Number |
19K12879
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
新見 道治 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 准教授 (20269088)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 幸治 北九州工業高等専門学校, 生産デザイン工学科, 教授 (60270378)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アルティメイトリンク / 情報ハイディング / 文字メディア / ユニバーサルデザイン / 電子コミックコンテンツ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は「ICT技術を活用した高機能フォントユニバーサルデザイン(弱視者をサポートするだけでなく晴眼者へも付加情報を伝えるフォントの加工技術)」を実現することである.2019度の研究実績を踏まえ2020年度は,二つのテーマ:電子コミックコンテンツ高付加価値化プロトタイプシステムの改良および印刷物を介しても頑健な情報抽出手法の検討,に取り組んだ.電子コミックシステムに関しては,情報付加されたフォント文字が若干読みづらいとの指摘があり,シンドロームトレリスコードと呼ばれる,元々の情報をあまり変化させない情報重畳法を導入した.次に印刷物を介しての情報取得に関しては,二つの手法(手法1,手法2と呼ぶ)を考案した.研究分担者は人間とのインターラクティブロボットシステムの研究も行っており,本テーマの研究ディスカッションの中で,アルティメイトリンク技術がこのロボットシステムにも応用できるのではないかと考え,その具体的例として,直線上のドットパターンを利用した現実世界の情報とコンピュータ世界の情報を対応づける技術を開発し,トランププレイシステムに応用した.これが手法1である.一方手法2は,文字の筆順をヒントに,フォント上に擬似筆順を定義し,これにより二次元平面上の点パターンを一次元上に展開させることができ,さらには色情報を使って,より大量の情報埋め込みを実現できた.これらの成果をまとめると以下の通りである. - 電子コミックシステムにおいて,できるだけ文字フォントを汚すことなく情報重畳する方法を実現した. - 人間とのインターラクティブロボットシステムにおいて,アルティメイトリンクを実現する方法を考案した.さらに,その技術を使ってトランププレイシステムを実現した. -印刷物から頑健に重畳情報を取得することを目的に,擬似筆順および色情報を活用したアルティメイトリンクを考案した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の当初テーマは「電子コミックコンテンツ高付加価値化プロトタイプシステムの改良」,「デジタルカメラ撮影された画像からの埋め込み情報の頑健な抽出」,「ポスター掲示物のフォントに対するアプローチの見直し」の三つであったが,問題点等を整理して,「1)電子コミックシステムの改良」,「2)印刷物を介しての頑健な情報取得(手法1,手法2)」の二つのテーマとした. この中で2)手法1は研究ミーティングの中で生まれた新たな目標である.もともと当初の研究計画書では2年目の2020年度は,位置合わせマーカーを利用して頑健に印刷物から情報を取得することが目標に掲げられており,テーマ2)はまさにこの目標にそった内容となっている.手法1では文字情報への重畳を拡張し,一般デザインを利用したアルティメイトリンクの実装を実現できた.これは予想外の成果である.また,手法2では本来我々が実現したいフォントユニバーサルデザインに直結する研究成果である.技術的な観点からこれらの成果を総合的に判断すれば,おおむね研究は順調に進展していると言える.ただし,研究を外部に対する成果発表も含めて考えるならば,手法1は年末ごろに一つのシステムとしてまとまりだし,手法2は年度末頃に基礎アイディアが完成したため,外部の学術機関を通して発表する時間がなかった.このような観点からすれば,若干研究は遅れている,と言わざるをえない.これは,予想もしなかった新型コロナウイルスの影響により,遠隔授業を実施せざるを得なくなり,研究代表者だけでなく研究分担者にも,その莫大な授業負担が発生し,これにより思うように研究時間を確保することができなかったことが原因である.
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Strategy for Future Research Activity |
まずは現在までの研究成果,特に電子コミックシステムおよび手法1について学会誌に投稿することを目標とする.続いて,電子コミックシステム,手法1,手法2の改良を考えている.電子コミックシステムについては,コロナ禍でのオンライン授業時のテキストに応用可能であり,まずは情報付加および情報読み取りが可能なスマホアプリ作成を検討している。これにより,オンライン授業の教員の負担軽減に加えて学生の学びを支援が可能ではないかと考えている。手法1については,ドットパターンの埋め込みに対応したスマートフォンアプリを作成予定である.2020年度実装したトランプシステムは,マイコン上で動作するが,これをスマートフォンアプリとして実装する。高性能なスマホカメラを活用しようという考えである.手法2に関しては,基礎的なアルゴリズムは考案できているが,種々のフォントにてその性能を調査することが必要である.さらに,この技術を掲示物への情報重畳,いわゆるフォントユニバーサルデザイに応用し,実験してみる.その後,スマフォアプリでの実装を考えている.当初の研究計画書には,最終年度に,アルゴリズムを携帯端末(スートフォンやタブレット端末)にてアプリケーションとして実装することを考えている,と記載しており,当初の目標は実現できそうである.
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため出張費が0円であるため.
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Remarks |
日本テレビ「月曜から夜ふかし」から手法1についてプロモーションビデオ作成の依頼があり,3月末に送付した.放送日は未定.
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