2020 Fiscal Year Research-status Report
触らないアフォーダンス知覚: モダリティ変換を伴う歩行時環境知覚の検証と応用
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19K12881
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
中村 明生 東京電機大学, 未来科学部, 教授 (00334152)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武川 直樹 東京電機大学, システムデザイン工学部, 教授 (20366397)
小林 春美 東京電機大学, 理工学部, 教授 (60333530)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 空間知覚 / 光学的流動 / モダリティ変換 |
Outline of Annual Research Achievements |
視覚情報としての距離の変化・差分から触覚情報としての振動刺激へのモダリティ変換,及びその振動刺激による情報提示に関して,歩行時環境知覚に対する有効性を検証する.2020年度は当初の計画である「通過:面配置把握およびその情報の利用」「エッジ検知:面配置の変化稜線の特定」の実験等を通して,2019年度に設定したサブゴールである「1)光学的流動を仮想環境内に描画可能な形式で表現し,その提示による周辺環境の認識可能性の検証」「2)光学的流動を解釈可能範囲内で要約・削減し,非視覚モダリティである振動刺激に変換・伝達するシステムの開発」に対して引き続き検討を加えた. 1)に関して,光学的流動の拡大を円直径拡縮で表現する図示のみで,被験者が面配置を把握し,凸型や凹型といった閉空間の形状を認識して描画可能であることを確認した.また移動障害物の接近に対しても,同様の情報提示による回避可能性が示唆された.さらに,円直径拡縮を実際の振動にモダリティ変換してユーザに伝達するプロトタイプシステムを開発し,振動刺激のみで壁に対する正対方向,隙間の中心,角の頂点といった環境構成要素の把握可能性を確認した. 2)に関して,「開口部定位:正面方向に設置した開口部の方向定位」に関する実験を行い,深度方向のエッジ検知に対して有効性を確認した.また,「偏軌傾向修正:盲状態における無意識な偏軌の知覚と修正」に関しても基礎的な有効性を確認した. さらに,距離に比例した強度の振動刺激を常時受ける先行手法に対して,変化・差分を考慮した強度の振動刺激を受ける提案手法は,ユーザのストレスの低減に寄与する可能性が被験者からの実験後聴取結果からも示唆されていたが,定量的な検証を加えた.意味差判別法(SD)法を用いた不快印象調査の結果,障害物接近時振動刺激に対し,従来手法に対して不快印象が15種中10種類の指標において小さいことを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全体的に,ほぼ予定通りに進捗しており,「おおむね順調に進展している.」と自己評価する. (A)理論提案(モデル化),(B)振動刺激への変換・提示方法の検証,(C)システム開発に関して,理論提案,知見獲得,手法検証,実機開発の局面で情報をサイクル的に相互フィードバックして研究を進めている.
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Strategy for Future Research Activity |
原則として申請書に記載した項目を実施する.研究分担者からの知識提供や実験計画立案・検証などの協力を得つつ,研究代表者及びその指導下の大学院生複数人で構成される研究グループを形成して研究を推進する現時点の体制を維持していく.
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Causes of Carryover |
(理由)コロナ禍のため,旅費使用がなかった.また,学生登校が年度前半は禁止,後半は制限状態であり,本格的な被験者実験を見合わせて担当学生を検証実験の被験者としたため,謝金支払いも発生しなかった.国際会議には投稿したが,英文校正は利用せず,費用が発生しなかった. 補助金の計画的かつ適正な使用のため,余剰分を次年度に繰り越すこととした. (使用計画)前年度繰越分は,電子機械部品等の物品費他,当初予定にのっとり使用する予定である.
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