2020 Fiscal Year Research-status Report
Study on spatial consideration and evaluation of independent living and care for elderly people with dementia
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19K12897
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Research Institution | The Hyogo Institute of Assistive Technology |
Principal Investigator |
大森 清博 兵庫県立福祉のまちづくり研究所, その他部局等, 研究員 (90426536)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福井 克也 兵庫県立福祉のまちづくり研究所, その他部局等, 特別研究員 (90809120)
北川 博巳 兵庫県立福祉のまちづくり研究所, その他部局等, 主任研究員 (10257967)
相良 二朗 神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 教授 (10330490)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 認知症 / 在宅生活支援 / 促しによる行動変容 / 遠隔コミュニケーション / 身体動作分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、遠隔地に住む家族の帰省や高齢者施設での家族の面会等が制限されるという新しい社会的課題が生まれた。そこで、認知症高齢者のコミュニケーションや見守りに資する高齢者にやさしいビデオ通話システムの実現を目指し、タブレット端末でよく使われているビデオ通話アプリの通話開始までの操作回数や視線計測に関する実験を行い、使いやすいアプリを明らかにした。 次に、昨年度試作した「光と音声で促しを行うホワイトボード」を用いて、認知症高齢者1名、健常高齢者1名の協力を得て、各協力者の自宅に試作機を1ヶ月間設置して効果の検証試験を実施した。その結果、特に認知症高齢者の事例では、通常の張り紙に比べて必要な情報がより伝わっていることが示唆された。一方、「情報を正しく受け取った上で、それに従わないことを選んだ」場面も見られたので、例えば火の元管理のようにリスクの大きい場面では、促しの効果が無かったときの備えが必要となると考えられる。 高齢者に対応した住宅改修については、本年度は機器操作等の動作を定量的に計測するために操作評価システムの開発を進めた。開発した操作評価システムは、メガネ型の視線計測部と、空間内に複数のWebカメラを設置して骨格検出を行う姿勢計測部から構成される。昨年度実施した床走行リフトを用いたトイレ介助支援場面を用いて同システムの動作検証を行った。その結果、作業中の介助者の注視点や透明アクリル板越しの介助動作を適切に計測できることを確かめた。 研究発表については、前述の操作評価システム開発について国際会議(i-CREATe 2020)で口頭発表を行った。また、昨年度実施したトイレ空間を模擬して床走行リフトによるトイレ介助場面での取り回し可能な空間的制約や配慮事項について国内学会(日本福祉の町作り学会第23回全国大会)で口頭発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究実施計画では在宅支援ニーズ調査を予定していたが、コロナ禍のため当事者団体や行政への聞き取り調査を進めることが難しかったが、試作した機器の評価試験や操作評価システムの開発に注力して研究を進めた。また、認知症高齢者に協力のもと実施した評価試験では、感染リスクを低減させるため、Zoom等オンラインでの聞き取りも積極的に導入して進めた。さらに、それらのオンラインでの聞き取りを通じて「高齢者にやさしいビデオ通話システムの実現」という課題が明らかとなり、認知症高齢者への生活・自立・介護という本研究の目的にも適していたので、本研究の中で研究開発を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は、高齢者に優しいビデオ通話システムのインタフェースについての開発を進め、有効性の検証を行う。また、本システムや昨年度まで開発を進めてきた光と音声で促しを行うホワイトボード、さらにIoTに活用されるセンサなどを、使用環境に応じて家具や建具に組み込んで生活空間により馴染みやすくする手法について検討を進める。また、視線と姿勢の動作計測システムを活用して、福祉用具導入による介助者等の振る舞いの変化や、光や音声を活用した促し効果等を定量的に評価し、認知症高齢者に配慮した空間的配慮や住宅設計指針等に資する提案につなげる。なお、コロナ禍において評価試験を行う段階では協力者との接触をできるだけ控えるため、ビデオ通話などを積極的に活用して進める必要がある。試作中のシステムも適宜活用しながら進めることとする。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大に伴う在宅支援ニーズ調査計画の変更、および評価試験協力者等へのオンラインでの聞き取りを通じて「高齢者にやさしいビデオ通話システムの実現」という新たな課題が明らかとなり計画の変更を行ったため。同ビデオ通話システムの開発とその評価試験、および試作装置およびIoTに活用されるセンサなどを家具や建具に組み込んだシステム開発に支出予定である。また、国内外の学会参加費も支出予定である。
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Remarks |
令和2年度分の研究成果については、令和2年度兵庫県立福祉のまちづくり研究所報告集(2021年7月公開予定)の中で、本研究の成果を含む研究報告を公開予定である。
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Research Products
(3 results)