2019 Fiscal Year Research-status Report
在宅医療および予防医療に用いる生体インピーダンス法による生体計測の確立とその応用
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19K12899
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
深井 澄夫 佐賀大学, 理工学部, 准教授 (30189906)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 卓朗 有明工業高等専門学校, 創造工学科, 助教 (20805626)
石川 洋平 有明工業高等専門学校, 創造工学科, 准教授 (50435476)
木本 晃 佐賀大学, 理工学部, 准教授 (80295021)
清水 暁生 有明工業高等専門学校, 創造工学科, 准教授 (90609885)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 生体インピーダンス計測 / 高精度整流回路 / ピークホールド回路 |
Outline of Annual Research Achievements |
多目的に使用できるように、測定周波数や信号レベル、計測条件等を考慮した測定を考えた時、現時点での計測精度はさらに向上する必要がある。インピーダンス計測精度をあげるための回路構成の検討と評価を行った。従来の方法では、計測信号を増幅し、基本的な整流回路によりAC-DC変換していた。要求精度は実現できていなかったが、動作の安定度や経年変化、作りやすさなどで採用していた。令和元年度は、コンピュータシミュレーションにより、多種類のオペアンプを用いた高精度整流回路(全波)とピークホールド回路に焦点を当てて、回路構成の動作特性や安定度、回路の構成の違いによる本質的な実現精度を解析した。また、使用周波数の範囲を広げているため、周波数特性に着目して素子の選別も検討した。これらの結果を基に、ブレッドボードで動作検証を行い、プリント基板製作により評価回路の特性を計測した。さらに、安定度や環境変化に対応すべく、回路の集積化の基礎実験として、オペアンプなどの基本ブロックの集積回路試作を実施した。個別部品より性能は落ちるが、要求する特性に対しては、十分であることが確認できた。実際の回路規模(オペアンプの複数構成、低電圧動作等)を考慮した集積回路による実現を最終の目標とする。 当大学では、提案する生体インピーダンス計測の実験を行うためには、倫理委員会の承認が必要であることから、本年度、研究に必須な生体計測を実施するための倫理員会への申請と承認を得ることができた。令和2年度に計測できる準備は整った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計測回路の精度を向上するため、種々の条件のもとで計算したコンピュータシミュレーション結果と実際の個別部品で製作した回路の実験結果が一致せず、検討や考察に手間取った。計測条件を広げた時、要求精度を実現する最適な素子の選別(素子の性能を規定するためにも必須)や組み合わせに時間がかかった。ただ、必要な組み合わせには成功しており、遅れは軽度であると判断している。また、集積回路の試作(設計ツール:VDEC、ファブ:フェニテック株式会社)も同時に行ったが、設計ツールや使用しているコンピュータOSのバージョンアップなどで設計環境の再構築が必要になり、設計環境整備に手間取った。共同研究者間で協調設計するため同一設計環境が必須であり、設計環境を整えるための調整が追加で必要になった。大学や高専機構で同一の設計ツールを実現するため、VDECを利用しているが、無償のためメーカーサポートがなく、環境を構築し検証する作業に時間を要した。 コロナウィルスの影響で、研究打ち合わせや学会参加、資料収集のための出張などの計画に再検討が必要になった。
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Strategy for Future Research Activity |
生体計測システム装置の製作数を増やし、その動作検証と性能評価に取り組む。構築した新しい設計環境を使用して集積回路の試作も計画通りに戻す。製作した計測システム装置を共同研究機関に配付して、データ収集し、総合的な評価ができるよう準備を進める。進捗状況は遅れているが、計画に沿って研究を進める。 コロナウィルスの影響が令和2年度どの程度の期間続くか不明であるため、研究の進捗に影響が出ないよう研究計画を見直しながら研究を推進する。
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Causes of Carryover |
コンピュータシミュレーションによる評価時間が伸び、試作予定の計測システムの試作セット数や集積回路の試作回数及び製造数が少なかったため、使用経費が減った。また、そのため、関連部品等の購入が予定より少なかった。研究の進捗の遅れにより、論文の作成や学会発表が予定より少なかったこと、コロナウィルスによる種々の学会開催中止や延期により出張旅費・交通費や謝金にも残額が出た。 令和2年度の使用計画:設計・試作回数、生体計測システム装置を計画通りの実現個数に戻す。令和元年度までの研究成果をまとめ、論文発表や学会参加回数の増やす。後半には、共同研究者と共に、謝金などを利用して得られる計測結果を整理して統計的に評価する。
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