2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K12900
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Research Institution | Komatsu University |
Principal Investigator |
井澤 純子 公立小松大学, 保健医療学部, 講師 (10400144)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深澤 伸慈 公立小松大学, 保健医療学部, 教授 (30461859)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 波形解析 / 呼吸運動 / COPD / 肺機能検査 |
Outline of Annual Research Achievements |
呼吸器疾患には拘束性,閉塞性,混合性があり,閉塞性疾患の代表的なものに,慢性閉塞性肺疾患(COPD)がある.呼吸器疾患の検査方法としては,呼吸機能検査(スパイロメトリー)や画像診断装置による検査がある.COPDは吸気,呼気の異常に特徴があるため,スパイロメトリーにより診断することができるが,この検査は,「大きく息を吸って一気に吐き出す」ことが必要であり,呼吸器疾患患者にとっては負担が大きいという問題がある.このため,この疾患の非侵襲的かつ在宅使用できる診断システムの構築が強く求められている. 本研究の目的は,疾患の早期発見や在宅医療支援を行うことができる「非侵襲で簡便なCOPD診断支援システム」の構築である. 本研究では,3次元スキャナと深度センサを用いて外部から胸部を撮影し,形状,距離,および動きの情報を取得する. 同時に, 3軸加速度センサで波形情報を計測し肺活量と1回換気量を推定する.これらの情報を融合し肺の形状と換気量の関係を解明することで,非侵襲で簡便なCOPD診断支援システム構築を目指している. 昨年度は健康な成人男性に対して,3軸加速度センサと深度センサを用いて同時に呼吸時のデータを取得し,それぞれ画像解析,波形解析を行った.被験者を増やして検討する予定であったが,COVID-19により困難になった.このため,人工呼吸器と肺シミュレータを用いて実験環境を構築し,様々な条件で実験を行った.実験環境で得られたデータを正解とし,健康な成人男性に対して、3軸加速度センサと深度センサを用いた肺機能検査の有用性を示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和2年度は,COVID-19による影響で外部の被験者を募ることが難しく,当初の予定を変更し人工呼吸器と肺シミュレータを用いた新たな実験環境を構築し,深度センサと3軸加速センサを用いた実験を行った. 深度センサにより計測した経時的な距離データから呼吸運動を求め,同時計測した3軸加速度センサでは,呼吸による胸部の動きを直接計測することができる.理想的な状態をシミュレータした実験環境下で得られたデータを正解とし、健常者から得られたデータとの比較を行った.またスパイロメータを用いた肺機能検査との比較を行った.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度新たに構築した人工呼吸器と肺シミュレータを用いた理想的な実験環境下で,深度センサと3軸加速度センサによる測定の有用性を示すことが出来た.今年度は実験環境下で、様々な肺疾患のシミュレーションを行いモデルを作成する. また,複数の健康な成人男性の被験者に対して同様に実験条件を変えて実験を行う. 昨年度購入した3次元スキャナは,深度センサよりも高精度に形状情報を取得することができる.3次元スキャナで胸部の形状データを取得し,得られた形状情報から,深度センサや3軸加速度センサで用いるマーキングの位置などの適正な条件を検討する.
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Causes of Carryover |
(理由)予定していた購入予定の3次元スキャナの見積もりを再度取ったところ,値上がりしており購入することができなかった.そこで,ほぼ同様の性能を持つ別の3次元スキャナの本体のみを購入したため,予算より大幅に価格を抑える事が出来た.また,移動の制限があり,学会参加やディスカッションのための出張費が抑えられた. (使用計画)本研究の目的は,疾患の早期発見や在宅医療支援を行うことができる「非侵襲で簡便なCOPD診断支援システム」の構築である.新しい検査方法を構築するため,複数の計測装置を用いた実験が必要である. 昨年度購入した3Dスキャナは本体のみであったため,付属品を購入し,形状データを取得する予定である.また3次元スキャナが要求するPCのスペックが高いため,高スペックのPCを購入する予定である. 現在所持している深度センサはサイズが大きく在宅医療での応用を考えると不便であるため,昨年発売された新しい小型の深度センサを購入予定である.これらのデータ保存のためのハードディスクドライブ,得られた成果を発表するための費用が必要である.また当初予定していた外部の被験者に対する検討ではなく,実験環境で様々なシミュレーションを行うため、新たな装置やアプリケーションソフトを購入し,実験を行う.
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