2019 Fiscal Year Research-status Report
舌の運動および触力感覚の機能維持・向上を目的としたトレーニングシステムの開発
Project/Area Number |
19K12901
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
梶川 伸哉 東北学院大学, 工学部, 教授 (80290691)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 舌運動トレーニング / 力制御 / ジョイスティック / 空気圧クッション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、触力覚提示機能を有する口腔内および口腔外での舌の運動トレーニングを行うシステムを開発することである。本年度は、口腔外での運動を対象とし、舌への負荷を調節可能なジョイスティック型のトレーニング装置の試作を行った。 まず、試作器の設計にあたり、人の舌の運動範囲、速度、力について実験を行い、ジョイスティックの稼働範囲、操作負荷の調節域を決定した。また、方向による舌の運動特性の違いを明らかにし、その要因についての考察を行った。次に、この事前調査の結果をもとに試作器の設計、製作を行った。制作した試作器は、2自由度を有するジョイスティック型であり、各回転軸には操作時の負荷を調節できるようDCモータが取り付けてある。舌先での操作する方式であるが、その操作部は、舌先を挿入できるよう凹み形状としており、舌で内壁を操作方向へ押していくことにより、ジョイスティックを変位させる。内壁には、舌との接触力を計測する目的で、4方向にシート状の圧力センサを張り付けている。圧力センサによる舌の操作力の計測結果をもとに、回転軸に取り付けたモータにより、操作負荷を与えることを想定している。操作負荷は、インピーダンス制御を適用することにより決定される。インピーダンスパラメータ(慣性、粘性、剛性)を調節することにより、操作者の能力に応じた適切な負荷特性を与えることが可能である。また、操作中にインピーダンスを変更することにより、力覚刺激を与えることもでき、操作者の舌運動(力出力)の調節訓練も可能となる。本年度は、この試作器の制作を終え、操作力調節範囲や応答性など基本的な性能の評価を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
負荷調整という予定した機能を搭載したジョイスティック装置の試作を行い、その基本的な性能の評価を終えることができた。また、その負荷を与える範囲についても、被験者を用いた予備実験により、操作範囲、操作力の目安を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度制作したジョイスティック型の装置を用いたトレーニングメニューの考案とトレーニング効果の検証を行う。その中では、被験者の運動能力をもとに負荷調節で使用するインピーダンス制御のパラメータ設定法を考案する。 また、口腔内での運動を対象とした計測およびトレーニング装置を新たに開発することがもう一つの課題として挙げられる。こちらについては、シリコーンゴム製のクッションを多数制作し、マウスピース型の装具上に取り付ける方式を採用する予定である。舌先で触れた際のクッションの内圧の変化から、舌の力と接触位置を推定する方法を構築する。こちらは、クッションの小型化と最適な配置について検討する必要がある。
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Causes of Carryover |
今年度購入を予定した微圧センサや空気圧計測システムを次年度に延期したためである。必要となるセンサの仕様を決める実験に時間を要しため、購入すべき機種の選定にいたらなかったことによる。また、新型コロナウイルス感染拡大による出張の取りやめによって旅費の残額も生じた。 今年度は、空気圧計測関連機材を購入し、予定している口腔内舌運動計測器の開発に取り掛かる予定である。また、今年度の研究成果を発表する学会等への参加に旅費を使いたい。
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