2019 Fiscal Year Research-status Report
血液透析の血管像とシャント音の自動計測とウェアラブル穿刺支援デバイスの開発
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19K12903
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
苗村 潔 東京工科大学, 医療保健学部, 教授 (90302752)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 電子聴診器 / 狭窄血管 / 力センサ |
Outline of Annual Research Achievements |
シャント血管可視化装置に関して、近赤外線仕様のCMOSカメラと近赤外レーザダイオードを購入し、研究代表者自身の前腕静脈の撮影を試みた。2019年度は撮影画像から静脈血管を抽出できなかったが、先行研究も多くあり、技術的な差別化も含めて引き続き検討する必要があることがわかった。 シャント音計測分析装置に関して、臨床使用されている電子聴診器を購入し、自動録音装置開発に向けた基礎実験装置を作成した。具体的には、聴診器を測定対象に押し当てる力や角度による音声への影響を調べるために、聴診器にボールジョイントと力センサを取り付け、直動ステージで直線的に動かせるようにした。狭窄した血管のシャント音を再現すべく、穿刺練習用の皮膚・血管モデルを購入し、狭窄血管の形状をエックス線CTスキャン試験で計測した。得られた結果を元に、光造形で狭窄血管モデルを製作し、心臓血管系を模擬した拍動流回路に接続した。狭窄部下流での音を聴診器で記録を試みたが、臨床の文献データを再現できなかった。 当初計画ではシャント血管可視化とシャント音自動計測機能を持った1次試作機を製作する予定であったが、上記のように計測対象となる狭窄血管の再現に多くの時間を費やしたため、基礎的な実験装置の製作に留まった。 一方、2020年度から行なう予定だったウェアラブルデバイスについて、現状技術の把握につとめ、臨床で使い勝手が良さそうなヘッドマウントディスプレイを購入して、予備的な検討に入った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1次試作が当初の計画であったが、基礎実験装置の作成に留まった。これは、狭窄血管モデルの製作に手間取ったためである。腕の曲面とシャント血管の隆起に対して、聴診器の当て方の影響を調べることが重要と考えたためである。拍動流回路を用いて狭窄血管の後流を測定することは結果的に断念することにした。
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Strategy for Future Research Activity |
シャント音の臨床データについて、市販書籍で入手可能なものを利用し、スピーカから発声させた音を基礎実験装置で測定することから始める。同じ音声に対して、電子聴診器の押し当て圧力の違いによる周波数帯域の変化を調べる。また、シャント血管を模擬したチューブに水を満たして、チューブの上から同様に音声記録実験を行なって、自動化するための技術的課題を明らかにする。 近赤外光によるシャント血管可視化について、既製品や先行研究の特徴を整理し、踏襲できる点、改良が必要な点など、本研究で必要な事項を明確にして、実際に装置を製作する。電子聴診器との配置方法が重要な検討項目となる。 ウェアラブルデバイスについて、2019年度に購入したヘッドマウントディスプレイの視認性を確認の上、表示する情報を精査することから始める。 これらの事項について、大学院修士課程に進学した学生1名、卒業研究生1名と共に進めていく。
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Causes of Carryover |
1次試作機を製作できなかったことと、学会が都内での開催で旅費が必要なかったことが大きな理由である。2020年度は、基礎実験を踏まえて、試作機の設計図を書き、自ら製作が難しい部品について専門業者に製作を依頼する予定である。 2019年度の繰越金45万円余りは、2020年度予算130万円と合わせ、画像や音声信号処理に適したソフトウェアMATLABに20万円、1次試作機の部品製作費に70万円、関連特許の調査費10万円、学会発表の参加費と旅費60万円、論文投稿および掲載費15万円を使用する予定である。海外渡航しての学会発表が不可能であれば、次年度に繰り越す可能性がある。
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