2022 Fiscal Year Research-status Report
血液透析の血管像とシャント音の自動計測とウェアラブル穿刺支援デバイスの開発
Project/Area Number |
19K12903
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
苗村 潔 東京工科大学, 医療保健学部, 教授 (90302752)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 超音波ドプラ流速計 / 血管コンプライアンス / シャント血管ファントム |
Outline of Annual Research Achievements |
血液透析患者のシャント血管狭窄を早期に発見する補助手段として、シャント血管を流れる血液の流速を計測する方法を確立することを目的とした。 臨床ですぐに使用可能なハンディタイプを試作し、超音波ドプラ流速計を皮膚に押し当てる力を計測するロードセルを備えたセンサユニットを製作した。センサユニットを押し込む長さを把握して、ロードセルで測定される力の変化を見ることで血管の柔らかさ(コンプライアンス)を推定できるようにした。 測定方法の妥当性を検証するため、シャント血管ファントムとして、血管の隆起を再現したものを作製し、圧力-容積特性(コンプライアンス)の異なる2種類のシリコーンチューブ(内径6 mm)を血管モデルにした。コンプライアンスは、血管モデル1は0.0007 mL/mmHg,血管モデル2は0.0019 mL/mmHg,ブタ内頸静脈は0.013 mL/mmHgであった. 拍動流回路による実験(圧力24.8~81.4 mmHg、流量133.1~235.6 mL/min(平均流量187 mL/min))の結果、トランジットタイム式超音波流量計から算出した平均流速と比較して、血管モデルにあてた超音波ドプラ流速計プローブの測定値は誤差1.0~9.4 %(平均3.6%)であった。超音波ドプラ流速計プローブを押しあてる長さと反力の間にはコンプライアンスと逆相関の関係があり、流速の計測値への影響は無かった。よって、シャント血管の評価として局所的な流速値と反力からコンプライアンスを推定しうることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
狭窄血管における流速だけでなく、血管コンプライアンスを推定できるようにセンサユニットを製作し、シャント血管ファントムに対して評価実験を行ない、関東労災病院での臨床計測が可能なように東京工科大学および関東労災病院における倫理委員会の承認を得たため。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5度の6月以降に関東労災病院にて、血液透析患者のシャント血管を対象に、流速と血管コンプライアンスの計測実験を行なう。複数人の計測を通じて、個人差を把握して、装置の仕様を明確化する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により海外での成果発表が行なえず旅費の支出が無かったことと、測定のために病院に入ることが不可能であり装置の仕様確定せず装置試作の物品費が生じなかったために、次年度使用額が生じた。 最終年度にあたり、成果をまとめて論文投稿1件以上(日本生体医工学会)、学会発表3件以上(神戸での看護理工学会、熊本での生体医工学シンポジウム、鹿児島でのコンピュータ外科学会)を予定しており、投稿料10万円、旅費21万円、参加費3万円を見込んでいる。また、据え置き型の自動計測装置についても試作の物品費として72万円ほどを予定している。
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