2020 Fiscal Year Research-status Report
血管機能定量化による入浴時ヒートショックの危険度判定システムの構築と評価
Project/Area Number |
19K12913
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Research Institution | Takasaki University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
高橋 大志 高崎健康福祉大学, 健康福祉学部, 講師 (20549943)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 真悟 高崎健康福祉大学, 健康福祉学部, 助教 (20804397)
児玉 直樹 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (50383146)
松尾 仁司 高崎健康福祉大学, 健康福祉学部, 教授 (70417012)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 入浴時ヒートショック / 赤外線撮影装置 / 熱刺激装置 / 血管反応 / 体質評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では入浴時ヒートショックによる死亡者数を減少させることを目的として、ヒートショックの体質的な危険度を定量的に評価できる新規なシステムを構築する事である。 本年度(2020年度)では、昨年度(2019年度)に作製した危険度判定システムを実際に生体計測実験に供し、その結果から装置を最適化させるための改良を実施したと共に、健常成人における冷熱刺激や温熱刺激、または温度サイクル熱刺激に対する血管反応性(血管径の計時変動)を計測した。また、本実験においては本年度に購入した血圧脈波検査装置によるPWV(脈波伝搬速度)の計測も行い、動脈硬化状態を反映するとされているPWVと血管反応性の関連性も調べた。さらに実験中には血圧も一定時間毎に計測した。同一人物に対する生体計測実験の結果、冷熱刺激に対する血管反応性と温熱刺激に対する血管反応性が異なっていたことが計測でき、ヒートショックの判定には冷熱刺激の方が有用である可能性が示唆された。また、3日間連続して同時間帯に血管反応性を計測した結果、日によって血管反応性が変動した結果が得られたことから、ヒートショックの危険性は日毎に変化している可能性があると考えられた。一方で、PWV計測結果と血圧測定結果には日毎による変動はなかったことから、ヒートショックの危険性を評価するために本システムが有用である可能性が示唆された。また、温度サイクル刺激に対する血管反応性を1日に3回(午前、正午頃、午後)計測したところ、各時間での計測結果に違いが観察された。本結果は血管反応性に日内変動が存在する可能性を示唆するものである。しかしながら、本システムにおける温度制御性及び血管径計測についての課題も明らかになったため、次年度では更なるシステム改良を実施し、さらにより多くの生体計測実験を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルス感染拡大によって生体計測実験における被験者協力をお願いできない状況が継続したため、取得を予定していた多人数のデータを取得することはできなかった。しかし、少人数の被験者からは継続的に実験協力を頂けたため、特定のヒトにおける冷熱や温熱条件といった各熱刺激に対する血管反応性の違いを観測することができ、また血管反応性の日内変動や日毎の反応性変動を計測することもできた。さらに血管反応性とPWVや血圧との関連も当初計画していた通りに調べることができたことより、当初の実験計画とは異なった実験を一部実施しているものの、その結果も順調に得られている状況にあるため、研究は概ね順調に進展している考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度(2020年度)では、新型コロナウイルス感染拡大によって生体計測実験の被験者協力に支障が生じたものの想定外の新規なデータが取得できている状況にある。そのため、次年度(2021年度、最終年度)においても少人数の被験者におけるより詳細なデータ取得を行う事とする。本年度の研究計画では健常若年成人を対象とした実験を行ったため、次年度の研究においても健常若年成人を対象としたデータ取得を継続すると共に、当初の研究計画書に基づいて若年成人から高齢者までの各年代の被験者における血管反応性を計測し、その違いについて明らかにしていく予定である。但し、次年度においても新型コロナウイルス感染拡大による被験者協力依頼が困難になる可能性も高いと予測されるため、その際には少数の被験者における経時的なデータ取得を行い、各人における血管反応性の変動を詳細に計測し、その血管反応性の変動とヒートショックの関連を検討することで、本研究の目的である「ヒートショックの体質的なリスクを定量的に評価できるシステムの構築」の可能性を明らかにする予定である。
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