2019 Fiscal Year Research-status Report
Construction of an Anti-Causal and Anti-Naturalistic Theory of Action Based on the Embodied Approach
Project/Area Number |
19K12927
|
Research Institution | International Budo University |
Principal Investigator |
鈴木 雄大 国際武道大学, 体育学部, 助教 (20794928)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 行為 / 身体性 / 因果パワー / 傾向性 / 現象学 / 一人称 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、哲学的行為論において未だそれほど導入されていない「身体性アプローチ」を展開することにある。本年度である2019年度は、四度の学会発表の機会を持ち、それによる実りの多い年度となった。学会発表のそれぞれの題目は、① “A Phenomenological, First-person, and Embodied Approach to Action”、② “An Anti-Humean Theory of Action: Causal Powers and Teleology”、③ 「行為論の概観、そしてデイヴィドソン的な標準的行為論に対する有望な代案」、④ “Intentions, Embodiment, and Causal Powers: through a First-Person Approach”である。 ①は行為論における身体性アプローチを具体的に展開したものであり、近年の現象学における成果も用いつつ、「意図は環境の方向性を変える」という見解を提示した。 ②は、本研究のサブテーマである「プロセス論」(これは三年度目に集中的に研究する予定のものであった)に関し、それを先取りする形で、新しい研究の方向性を切り開いたものであった。「因果パワー説」という因果論において最近注目されている理論を行為論に応用し、これは今後の本研究の進展にとって大きなインパクトをもたらす潜在性を秘める展開となった。 ③では一般の哲学者に向けて行為論を概説し、かつその上で自説を展開する依頼講演であった。 ④は、日本科学哲学会の年次大会において“Action and Agency after Davidson”というワークショップを共同主催した際の、個人発表であり、身体アプローチ、因果パワー説、さらには一人称アプローチといった本研究の複合的な要素を互いに関連づける俯瞰的な発表をした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の内容に関しては、因果パワー説の行為論への接続など、当初予想していなかった大きな収穫を得ることができた。 ただし研究活動面、特に海外での在外研究や、それに基づく論文執筆などに関しては、海外の研究者の都合や、また新型コロナウイルスの影響により、縮小せざるをえない部分があった。次年度以降のキャッチアップに期待したい。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究の内容面に関しては、「因果パワー説」に関する研究を加え、これに積極的に取り組んでいきたい。これは本研究の「身体性アプローチ」に形而上学的な基盤を与える、非常に重要なものになる可能性を秘める。 また、研究の活動面に関して、新型コロナウイルスを巡る状況を注視しつつ、海外での在外研究を計画通り遂行していきたい。
|
Causes of Carryover |
日本に招聘予定であった海外の研究者が、健康上の事情により来日することが難しくなり、予定していた研究費の使用ができなくなったことと、新型コロナウイルスの影響で、予定していた海外渡航が困難になったことが、次年度使用額が生じた理由として挙げられる。また次年度は、(海外の研究者の招聘は当該研究者の健康状況によるが)海外での渡航・在外研究は、新型コロナウイルスの状況を注視しつつ、計画していきたい。
|
Research Products
(4 results)