2019 Fiscal Year Research-status Report
フランスにおける中絶解放の思想研究 身体所有から中絶の権利へ
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19K12933
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Research Institution | Tokyo Keizai University |
Principal Investigator |
相澤 伸依 東京経済大学, 全学共通教育センター, 准教授 (80580860)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | リプロダクティブライツ / フランス / 中絶 / セクシュアリティ / 身体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、1970年代のフランスの中絶解放運動の言説分析を通じて、第一にフランスの中絶を正当化した思想的背景と哲学的根拠を探ること、第二にその成果を日本における中絶受容を反省する材料にすることの二点である。 この目的を達成するため、2019年度は、(a) 既存研究の精査と、(b) 中絶解放運動を担った団体の一次資料を分析することを計画していた。(a) 既存研究の精査は、おおむね順調に進んだ。特に、比較対象として取り上げる日本の中絶受容に関する研究が進み、その成果を国際学会で発表することがアクセプトされた。(パリ第一大学主催 "Colloque international ”Feminisme, droit et citoyennete"にて、"Avorter, le droit culpabilise ? Un combat des militantes feministes japonaises pour le droit a l’avortement"というタイトルで発表予定。 2020年6月に開催が計画されていたが、コロナ禍のため、一年延期となった。)(b) 中絶解放運動を担った団体の一次資料の分析については、2019年11月に渡仏した際にフランス国立図書館で資料を収集した。その分析結果の一部は学内紀要に発表した(「フランスの中絶解放運動における三つのマニフェスト ―紹介と考察―」『東京経済大学人文自然科学論集』 (146)、115 - 131頁)。さらに2020年3月にもパリのアーカイブでの資料収集を計画していたが、コロナ禍によって断念せざるを得なかった。そのため、2019年11月に収集した資料と既存文献を参照しつつ研究を続けている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度はほぼ計画通りに研究を進め、その成果を発表した。現時点で未発表の内容も、国際学会等での発表見込みが立っている。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度はフランスにやや長めに滞在し資料収集を行い、研究深化の材料とする予定であった。しかし、コロナ禍のため、渡仏の見込みは立たない。そのため、すでに収集した資料及び日本国内からアクセス可能な資料を通じて研究を継続する予定である。
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Causes of Carryover |
2020年3月に計画していた、資料収集のための渡仏がコロナ禍のためにキャンセルとなった。そのため、多額の次年度使用額が生じた。コロナ禍の終息を待って国外旅費に充てる予定である。
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