2020 Fiscal Year Research-status Report
In Defence of Naturalistic Metaethical Theory through Explaining the Normativity of Morality
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19K12938
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
蝶名林 亮 創価大学, 文学部, 准教授 (10802184)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | メタ倫理学 / 規範性 / 自然主義 / 非自然主義 / 直観主義 / 道徳認識論 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はコロナ禍の影響もあり、予定していた国際ワークショップの開催、国際学会への参加などは実行できなかった。その影響もあり、予定していた通りには研究事業を進めることはできなかったが、本課題とも関係のある道徳認識論の分野の研究を進め、その成果を学会等で発表し、来年度には研究成果をまとめた論文も学会誌に掲載されることになった。
道徳認識論とは、正邪や善悪などの道徳に関する知識をわれわれはどのように得ることができるのか(もしくはできないのか)考察する哲学の一分野である。考察の対象が道徳に関わることであるため、この分野は倫理学、メタ倫理学の一分野であると考えられている。近年、道徳認識論において道徳的直観主義(以下、「直観主義」と省略)と呼ばれる立場が論者の中で支持を集めている。直観主義によると、われわれの道徳に関する考え、信念の中には、他の信念による推論を経ることなく正当化されるものがあるとされる。多くの人は「幼児虐待は悪だ」と考えると思われるが、この考えは明かに正しいように思えるものであり、他の信念からの推論を経ることなく正当化を得ることができるように思える。直観主義者はこのようなその考え・信念が持たれること自体によって正当化を得ることができる道徳的信念・判断の存在を主張する。
本研究は道徳哲学を他の経験科学と同様に一種の科学的な営みとして理解しようとする試みであるが、そのような視点から今年度は上述の直観主義に関する批判的な検討を試みた。具体的には、直観に関する近年の社会心理学等の知見を活用したWalter Sinnott-Armstrongによる直観主義批判とそれへの応答について検討し、批判への応答を無効化する論証の構築を目指した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルスの世界的な蔓延により、予定していた国際ワークショップが開催できなくなるなど、当初予定していた研究事業を実行することができなかったため。しかしながら、今年度はその代替となる研究活動に従事することができたため(主に国内でのワークショップ、学会等への参加、研究成果の発表、など、この遅延は決定的なものにはならなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
21年度は9月から研究休暇を取得できる見込みとなったため、特に9月から集中的に本研究課題を推進していく予定である。具体的には、昨年度までの研究成果をまとめ、国際学会や英文ジャーナルへの論文の投稿を随時試みていく。また、20年度に予定していた国際ワークショップ等は22年度に実施することとし、研究計画の後ろ倒しを予定している。
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Causes of Carryover |
20年度は前年度に引き続き、国際学会への参加及び国際的なワークショップの開催を通して研究の質を高める予定になっていたが、コロナ禍の影響によりそれらのための費用を捻出する必要がなくなった(国際学会への参加はオンラインで実施できたが、ワークショップは開催を延期することになった)。そのため、使用しなかった研究費については次年度以降で使用することを検討している。具体的には、(コロナ禍の状況を見極めつつということになるが)関係する国際的な研究イベントへの参加を計画しており、そのための費用として研究費を使用することを計画している。
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