2021 Fiscal Year Research-status Report
In Defence of Naturalistic Metaethical Theory through Explaining the Normativity of Morality
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19K12938
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
蝶名林 亮 創価大学, 文学部, 准教授 (10802184)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | メタ倫理学 / 暴露論証 / 道徳的説明 |
Outline of Annual Research Achievements |
21年度は20年度に実施した研究成果の一部が国内の研究誌に掲載された。また、9月からは国際共同研究強化(A)の実施のために渡英し、オックスフォード大学のOxford Uehiro Centre for Practical Ethicsを研究拠点として研究に従事した。その中で、本研究課題と大きな関りを持つ道徳的説明に関する英語論文を数本書き上げ、海外ジャーナルに投稿した。 21年度の研究成果としては主に以下の2点を挙げることができる。 一点目として、20年度より取り組んできた道徳的判断に関する数種類の暴露論証を検討することのより、近年の実証的研究に訴えるメタ倫理における議論は本研究課題の主要なテーマである自然主義的な道徳的実在論擁護のために有効に働くことを確認することができた。 二点目として、長年取り組んできた道徳的説明に訴える論証について、これまでのメタ倫理学における議論を批判的に検討した上で、この論証の問題点を明らかにするとともに、これまで提案されてこなかった新たな議論を構築することができた。具体的には、①道徳的説明のタイプの明確化、②道徳的説明の被説明項の精緻化、③関係する諸科学の知見への言及、この三点に目配りを効かせた議論の構築を提案し、その成果を論文にまとめることができた。 特にこの二点目の成果について、道徳的説明に訴えて自然主義的な道徳的実在論を擁護するという論法は、1980年代から提案されてきた古典的な方法ではあるが、その成否については専門家の間でも未だに意見が分かれている。この論法に関する新たな提案を構築することができたことは、本研究の中核を担う成果となることが予想される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
パンデミックの影響で当初計画していたような海外の研究者を招いての研究会などは実施できなかったが、20年度に実施した研究成果を国内のジャーナルに掲載することができた。これは当初の計画通りの成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、英文ジャーナルに数本の論文を投稿中であり、これらを22年度中に完成させることができれば、当初の計画通りの研究成果を得ることができると思われる。
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Causes of Carryover |
パンデミックの影響により本年度に実施を計画していた海外研究者を日本に招聘して研究会等を実施することができなかった。22年度前半は英国内での住居費や学会参加のための費用を研究費から捻出し、22年度後半はパンデミックの状況も見つつ可能であれば日本に海外から研究者を招いて研究会を実施して本研究成果の質向上をはかる計画である。
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