2022 Fiscal Year Annual Research Report
清代前期における朱子学関連書の編纂・出版をめぐる思想史的社会史的研究
Project/Area Number |
19K12945
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
尾崎 順一郎 東北大学, 文学研究科, 専門研究員 (40757085)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 清代 / 朱子学 / 四書学 / 性理学 / 出版 / 科挙 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度に当たる当該年度では本研究の総括を目指した。 まず、明清時代に編纂・出版された朱子学関連の文献資料に関する書誌調査を行った。当該年度は国内における新型コロナウィルス対策が従前に比して緩和されたことから、各地の図書館で資料の閲覧が可能となり、限られた件数ではあるが、いくつかの資料を実際に閲覧することができた。しかしながら、申請時に予定していた中国や台湾での資料調査については、当該年度も実施することはできなかった。また、国内外の図書館が所蔵資料の電子画像の公開を進めたことで、調査の幅を広げることもできた。 次に、研究内容の発表としては、「高攀龍『朱子節要』の受容について」(三浦秀一先生退休記念研究集会「中国古典学とその広がり」、東北大学、2023年3月18日)と題する報告を行った。資料調査を進めていく過程で、明末の高攀龍が編纂した『朱子節要』が清代に編纂された朱子の『文集』『語類』のダイジェスト版に対して少なからず影響を及ぼしていると考えられたことから、本報告では『朱子節要』を中心に高攀龍の遺著の編纂・出版状況を整理し、それが清代の学者の活動とどのように関わっていたのかということについて報告を行った。 研究期間中の大部分は新型コロナウィルスが蔓延した影響を受け、様々な制約をこうむったことにより、当初予定していた計画を見直しながら調査・研究を進めていかなくてはならなくなった。そうした中でも、明清時代に編纂・出版された朱子学関連の資料調査を積み重ねて行くことで、清初期の学者たちが置かれた資料環境を探り、そこでどのような意識で朱子学に向き合っていたかを考察することができた。
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