2021 Fiscal Year Research-status Report
On Pa-Auk Buddhist Meditation Lineage in Myanmar
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19K12947
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川本 佳苗 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 連携研究員 (40781688)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ミャンマー / 上座部仏教 / 瞑想 / パオ仏教瞑想 |
Outline of Annual Research Achievements |
コロナウィルス感染拡大状況およびミャンマーで発生した軍事クーデターのため現地調査を行うことができず、進捗に遅れが生じている。 本年度においては調査内容を出版することができなかった。本研究課題に関連する口頭発表として、1件の学術大会での発表と2件の一般向け講演を行なった。 1件目は、京都でオンライン開催されたInternational Convention of Asia Scholars (ICAS)にて"Renaissance of Concentration Practice: Another Modern Buddhist Meditation Movement by the Burmese Monk Pa-Auk Sayadaw"の発表である。まず、ミャンマーの仏教伝統において主に二分される瞑想法であるサマタとヴィパッサナーの各々の定義・特徴と、そのような分岐が始まるに至った歴史的経緯を概略した。その背景には、英領時代から独立にかけて活躍した高僧の存在と、彼らの活躍を後援した政府の戦略もあった事実を裏付ける先行研究からの調査結果を、中間報告した。この調査は2023年度も引き続き行う予定である。次に、本研究課題であるパオ仏教瞑想法の設立者である僧パオ長老の経歴と瞑想法の特徴を概説し、日本人実践者へのインタビュー調査を一部紹介した。 2件目は、9月27日の京都大学アカデミックデイズでの講演「ミャンマーの仏教瞑想にちて」である。本事業は研究者による「国民との科学・技術対話」一環として、京都大学の研究者の研究活動を国民に反映・還元する試みである。研究課題をとりまくミャンマーの仏教伝統について簡潔に解説した。3件目の講演はNGOパルシック主催にミャンマーの民主化運動を支援するための連続講座である。本講演でも瞑想に代表されるミャンマー仏教伝統について概説した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
ミャンマーに渡航して現地調査を行えないことが最大の原因である。 本年度は、ミャンマー語データに関しては2019年度のミャンマー調査で録音したインタビュー内容の文字起こしと翻訳を進めた。またインターネット上で視聴可能なミャンマー人瞑想指導者の仏教理解を知ることのできる動画の文字起こしと翻訳も開始している。 日本国内における日本人・ミャンマー人へのインタビュー調査と瞑想活動への参与観察は、継続して行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルス感染防止対策と、軍事クーデーターの影響とが相まって、2023年度もミャンマーへの入国が依然として困難であると予想される。 ミャンマー以外でパオ仏教瞑想センターの支部があるマレーシア、シンガポール、インドネシア等の東南アジア近隣国での調査が可能であれば実施したいと考えている。日本国内で継続している調査とともに、瞑想実践者の実態把握を試みる。 仏典とパオ瞑想法の関連などの文献調査をなるべく迅速に行ない、この研究結果だけでも仏教学の領域で論文として発表することを目標にしている。 新型コロナウィルス感染拡大の影響により、本研究課題はあと1年延長が可能であるので、2024年度にミャンマーに渡航することも検討している。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染拡大の状況および軍事クーデター発生とが重なりミャンマーへの渡航が叶わず、現地渡航費を使用できなかったことによる。国内においても関東地域に数度に渡り緊急事態宣言あるいはまん延防止策が下され、計画したよりも調査回数が少なかった。 2022年度では、海外渡航が緩和されれば、ミャンマーあるいはその周辺地域にて調査を行なうことを検討している。
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