2021 Fiscal Year Annual Research Report
The Formation and Development of the Pancaraksa in Indian Esoteric Buddhism
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19K12950
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
園田 沙弥佳 東洋大学, 東洋学研究所, 客員研究員 (20834857)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | パンチャラクシャー / ヴァイシャーリー・プラヴェーシャ / 根本説一切有部律 / ヴァイシャーリー疫病消除説話 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は五護陀羅尼関連文献のうち、『大護明陀羅尼』とその注釈書である『大秘密真言随持経十萬註』を中心に取り上げた。従来の研究では注釈書に2系統の『大護明陀羅尼』が含まれていることや、『根本説一切有部律』『ヴァイシャーリー・プラヴェーシャ』に説かれる「ヴァイシャーリー疫病消除説話」との関連性について指摘されていた。本研究では先行研究を踏まえ、より具体的な『大秘密真言随持経十萬註』の内容構成およびその特色について考察した。 本研究成果の一部として、7月に開催された東洋大学東洋学研究所の研究発表例会、9月に開催された日本印度学仏教学会第72回学術大会において、『大秘密真言随持経十萬註』の具体的な内容構成を明らかにした他、さらに『根本説一切有部律』「薬事」および『ヴァイシャーリープラヴェーシャ』の記述と比較検討し、相違点や特色について発表した。 また、本注釈書の経典引用部分を抜粋し、北京版西蔵大蔵経・デルゲ版西蔵大蔵経を用いて、現在確認されていないサンスクリット系統の『大護明陀羅尼』部分の再構成を試みた。その他、チベット語訳経題に見られる経題のバリエーションについて、北京版、デルゲ版、ナルタン版、ラサ版、シェルカル写本シェイ版等のチベット語訳各版をもとに整理した。以上の研究成果の一部は『印度學佛教學研究』第70巻第3号、『東洋学研究』59号等において公表した。 本研究期間を通して、インド後期密教において神格化された五護陀羅尼明妃と他の女尊との信仰形態の比較や、五護陀羅尼経典および注釈書研究について包括的に取り扱った。特に注釈書には経典には言及されていない神格化に関する図像的特色が説かれている。なお、この図像的特色はインド後期密教文献に属する『サーダナ・マーラー』や『ニシュパンナ・ヨーガーヴァリー』に見られる特徴と相違が見られることから、今後の検討課題としたい。
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Research Products
(5 results)