2023 Fiscal Year Research-status Report
チベット初期中観思想の形成とその歴史的展開に関する基礎的研究:二諦説を基軸として
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19K12951
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Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
西沢 史仁 立正大学, 法華経文化研究所, 特別所員 (50646643)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | チベット中観思想 / チャパ・チューキセンゲ / 二諦 / 中観光明論 / カマラシーラ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,昨年度に引き続き,12世紀初頭にサンプ寺を拠点としてチベット仏教教学復興に多大な貢献を果たしたチャパ・チューキセンゲ(Phya pa Chos kyi seng ge, 1109-1169)の二諦説について研究を遂行した.昨年度は,彼の中観綱要書『中観東方三論提要』を資料として,チャパの中観思想の独創性と文献点思想的背景について光を当てることを試み,その研究成果は,「チャパ・チューキセンゲの二諦説:『中観東方三論提要』を資料として」『大崎学報』178として公表したが,そこでは,チャパの中観思想の思想的起源の一つとして,カマラシーラの『中観光明論』の重要性が明らかになった.そこで,本年度は,チャパの『中観光明論』に対する註釈書(『カダム全集』第六巻pp. 265-428/ 1-82b,ウメ書体の写本)を資料として,テキスト全体の科文の作成,テキストの批判的校訂,『中観光明論』のプラティーカの同定作業,及び,試訳の作成に従事した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の計画では,本年度に同科研研究を完了し,その成果発表を出版物の形で纏める予定であったが,昨年度に引き続き,原因不明の体調不良のため研究に集中できず,当初予定していた研究計画に少なからぬ遅延が生じため,研究計画の修正と研究期間の延長を行なった. 特に,チャパの『中観光明論』の註釈は分量も多く内容も難解であり,その解読作業に予想以上の時間が掛かっているため,その研究成果を発表するにまで至らなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度,パツァプ翻訳師の『根本中論』の註釈を資料として彼の中観思想を分析したが,その際,パツァプ翻訳師の主要な批判対象は,カマラシーラの『中観光明論』であることが明らかになったので,同じ『中観光明論』を所依典籍とするチャパとの間に如何なる中観解釈の相異があったのか,主に『中観光明論』を分析の基軸に据えて解明することに努める予定である. 併せて,これまでの研究成果を一つの出版物に纏める作業を計画している.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた主要な理由は,前年度同様に,コロナ騒動の影響により,当初支出予定であった国内外の旅費の支出がキャンセルになったためである.その金額は当科研研究の成果発表として出版費等に充当することを検討している.
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