2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K12953
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
堀田 和義 岡山理科大学, 基盤教育センター, 准教授 (90548687)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | シュラーヴァカ・アーチャーラ文献 / 不殺生戒 / ジャイナ教在家信者 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は、ジャイナ教在家信者の行動規範について記したシュラーヴァカ・アーチャーラ文献全体を網羅的に解読・分析することにより、ジャイナ教在家信者の行動規範における不殺生戒の位置付けを明らかにする作業を行った。 これにより、ジャイナ教において不殺生戒が占める位置はほぼ確定しており、出家修行者であるか在家信者であるかだけでなく、宗派や時代も問わず、最重要の誓戒として位置付けられていることが明らかとなった。 また、本課題で予定している不殺生に関するジャイナ教の見解を他宗教の不殺生と比較する作業の土台として、アージーヴィカ教やヒンドゥー教の聖者伝等の解読・翻訳研究を行った。 初年次の経過報告としては、『佛教学セミナー』第110号に「酔っ払いの戯れ―Mattavilasa和訳―」を、『武蔵野大学人間学研究論集』第9号に「シャンカラの世界征服―Sankaradigvijaya第2章訳注―」を、『仏教文化研究論集』第20号に「ゴーサーラ伝―Viyahapannatti第15章和訳―」を、『川崎大師教学研究所紀要』第5号に「ヴィクラマ王の冒険―Vikramacarita簡略版訳注(二)―」(印刷中)をそれぞれ投稿した。 その他にも、2019年7月29日に広島大学で開催された連続講演会「非暴力・戦争・宗教的なるもの」において、「ジャイナ教の非暴力思想」というテーマで講演を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に予定していたシュラーヴァカ・アーチャーラ文献における不殺生戒の位置付けの明確化に関する作業はおおむね順調に進展している。これにより、2年目以降に予定している不殺生戒の具体的な内容や発展的な議論を分析する作業のための基礎が整ったと言える。 成果報告に関しては、他宗教との比較のうえで重要となる、アージーヴィカ教やヒンドゥー教の聖者伝に関する翻訳研究を中心に4本の論文を投稿し、ジャイナ教の非暴力思想(=不殺生思想)に関する講演を1回行ったことにより、予定以上の成果を挙げることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目は、初年度の研究成果にもとづいて、シュラーヴァカ・アーチャーラ文献における不殺生戒に関する規定を解読することにより、その具体的な内容を明らかにする。まずは、殺生(もしくは不殺生)の定義、不殺生の対象となる存在、不殺生の違反行為に関する規定といった具体的な規定の分析を行い、その後の発展的な議論を分析するための土台を築く。 成果報告に関しても、初年度と同様、各種学会誌や大学の紀要などへの積極的な論文の投稿を行う予定である。
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Causes of Carryover |
初年度に予定していた電子テキストの入力作業の謝金に関して、入力テキストのページ数の都合により差額が生じた。 使用しなかった分に関しては、2年目以降の電子テキスト入力の謝金として使用する予定である。
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Research Products
(4 results)