2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K12953
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
堀田 和義 岡山理科大学, 基盤教育センター, 准教授 (90548687)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | シュラーヴァカ・アーチャーラ文献 / 不殺生戒 / ジャイナ教在家信者 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、予定していたジャイナ教在家信者の行動規範における不殺生戒の具体的な内容の解明に着手した。 シュラーヴァカ・アーチャーラ文献における不殺生戒に関する記述には、殺生や不殺生の定義、不殺生の対象となる存在、不殺生の違反行為に関する規定といった具体的な規定のみならず、「なぜ殺してはいけないのか」「不殺生に例外(例えば、罪人の殺生、安楽死等)はあるのか」などに関する議論も見られるため、それらを業の理論や輪廻思想との関連も意識しながら分析しすることで、ジャイナ教の代表的な見解を抽出する作業に着手した。 また、本課題で予定している不殺生に関するジャイナ教の見解を他宗教の不殺生と比較する作業の土台として、ヒンドゥー教の遍歴遊行者に関する文献や古譚(プラーナ)等の解読・翻訳研究を行った。 2020年度の経過報告としては、『佛教学セミナー』第111号に「究極の放擲者―Paramahamsa-upanisat和訳―」を、『佛教学セミナー』第112号に「死後の世界と死者儀礼―Garudapuranasaroddhara和訳(1)―」を投稿した。 その他に、不殺生戒をはじめとするジャイナ教の思想について解説した「はじめてのジャイナ教」を『仏教文化』第59号に投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度に予定していたジャイナ教在家信者の行動規範における不殺生戒の具体的な内容を明らかにする作業は、すでに着手し、一定程度、進展しているため、その成果は、2021年度の日本印度学仏教学会などにおいて発表する予定である。 ただし、作業によっては、新型コロナウィルスの影響による各種研究会の自粛・取りやめ等の事情により、予定通りに進まなかったものもある。 成果報告としては、他宗教との比較のうえで重要となるヒンドゥー教の遍歴遊行者に関する文献や古譚(プラーナ)等の解読・翻訳研究を中心に2本の論文を投稿し、ジャイナ教の不殺生戒を中心とする解説を1本投稿したことにより、一定程度の成果を挙げることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、2020年度に引き続き、ジャイナ教在家信者の行動規範における不殺生戒の具体的な内容を明らかにする作業を行い、インドの他宗教の不殺生思想との比較のための土台を築く作業を継続する。 成果に関しても、各種学会で積極的に発表し、学会誌や大学の紀要などへの積極的な論文の投稿を行う予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの感染拡大に伴う、各種研究会の自粛・取りやめ、国内外における図書館での資料調査などができないなどの事情により、旅費を中心とした助成金の執行ができなかったため、次年度使用額が生じることとなった。 新型コロナウィルス問題の収束の見込みはないため、旅費などとして予定していたものを、シュラーヴァカ・アーチャーラ文献のテキストデータベース作成のための機材を揃える物品費やテキスト入力作業のための人件費などとして執行することにより、研究進展の充実化を図る予定である。
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Research Products
(2 results)