2020 Fiscal Year Research-status Report
人口減少社会における「不活動・準不活動神社」の実態と地域文化に与える影響
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19K12957
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Research Institution | Reitaku University |
Principal Investigator |
冬月 律 麗澤大学, 外国語学部, 講師 (70726950)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 不活動神社 / 過疎地神社 / 人口減少社会 / 宗教文化 / 地域研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
コロナ禍で例年実施していた調査が一切できない状況となった。したがって、二年目に当たる2020年度は、前年度(2019年度)に取り組んだ調査研究の継続実施と、次年度以降の調査計画の調整を行なった。具体的には、継続調査研究としては、高知県と新潟県における対象地域選定のための地域概況および過疎状況等の把握、基本的データ(地域自治体の形成と人口動態をはじめ、神社の歴史・過疎地神社の数及び現況)の収集と関連研究の整理を行ない、その成果を講演会や研究会等で報告を行なった。 一方で、次年度以降の調査計画の調整については、そもそもネット環境が完全に整っていない中山間地域を対象地域、パソコンやスマホを持たないまたは操作に不慣れな高齢者を調査協力者として想定しており、オンライン会議を開催することができず、具体的な計画の打ち合わせができない状況であった。幸いにして、緊急事態宣言が一時解除された時に実施した短期の現地調査(高知県)を契機に、その後現地情報と調査再開の時期について電話やSNSを通じて調査計画の調整が進んでいる状況にある。 ちなみに、高知県の調査では、県内の7つに分かれている神社支部において、各支部の宮司不在神社や極小規模神社の分布には地域差があることを確認できた。また、故郷と氏神様を偲ぶ郷土人たちの想いが契機となって、廃村によって不活動状態にあった神社が復活したことも確認することができた。 このように、文献・資料収集の研究はおおむね順調に進んでいるが、研究会等での報告以外の2年目以降予定の実地調査を伴う調査研究がほとんど実施できなかった。次年度は新型コロナウィルス感染症の状況を踏まえながら、実施予定の調査票調査の予備調査のための現地調査を進める。また、オンライン開催の海外学会や国内の関連学会での発表や他のアウトプットも進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
3年計画の2年目として、高知県と新潟県の両県から比較的に人口規模が近い町・村単位で選定し、その地域を構成する各集落の神社情報を把握するための現地調査を予定していたが、コロナ禍のため、計画していた調査研究がほとんど実施できなかった。高知県についてはこれまでの調査資料と昨年度の1回で得た資料を活用することで、ある程度計画を再調整し、少しずつ進めることはできた。一方で、新潟県における調査地選定およびパイロット調査については、やむをえず、次年度以降に持ち越すこととなった。幸いなことに、宗教専門紙や宗教情報誌、新潟県庁報をはじめ、関連研究会や講演会での報告・意見交換を通じて新潟県における不活動神社の状況に関する資料は常に把握できる状況にあった。 以上のとおり、2020年度については、次年度の2021年度に向けた作業を十分に展開することができず、計画当初より遅れてはいるが、計画を調整しながら可能な範囲での研究調査を前向きに取り組んでまいりたい所存である。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍の2020年度は、例年実施していた実地調査(打ち合わせ、意見交換会などの現地調査を伴わないものは除く)が一切できなくなった。したがって、調査研究の振り返りと基礎的データの収集および調査計画の調整を継続した。とくに最新情報を、業界関連紙誌(月刊『若木』、『神社新報』、『中外日報』など)やウェブサイトで確認し、関連研究等を含めた文献調査・情報収集を続けた。2021年度は、2020年度に行えなかった内容を、電話・オンライン調査を含めた様々な方法を用いて、当初の予定の成果を挙げられるよう進めていく。 一方で、初年度の2019年度より実施できていない新潟県における現地視察は、引き続き新型コロナウィルス感染症の状況等を踏まえながら実施していく予定である。ただし、昨年度の高知県を対象にしたコロナ禍での調査経験を活かし、ウェブ会議やインタビュー調査などをも視野に入れて、できる限り情報を収集し、調査研究を実施していく予定である。そして、調査研究の成果は、内外部の研究会や関連学会等で報告・発信していく。
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Causes of Carryover |
(理由)2020年度に実施予定していた現地調査については新型コロナウィルス感染症の影響で中止となり、次年度に変更したため。 (使用計画)2021年度は、2020年度に行なえなかった内容を、オンライン調査を含めた様々な方法を用いて、当初の計画の目的達成に近づけられるよう進めていく。具体的には、2020年度に引き続き、これまでの文献資料を収集・整理しつつ、高知県と新潟県の対象地域を確定し、2020年度未実施分も含め、両地域における不活動・準不活動神社の状況を把握するための現地調査と調査票調査の事前調査を計画・実施する。
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Research Products
(2 results)