2022 Fiscal Year Research-status Report
ゲーテのガイスト概念の究明――雰囲気の思想史のために
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19K12967
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
久山 雄甫 神戸大学, 人文学研究科, 准教授 (70723378)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ゲーテ / ガイスト / 雰囲気学 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は、前年度に引き続き、新型コロナウイルスによる影響に応じて大幅な計画変更のもと研究を遂行した。 本科研の「雰囲気の思想史」研究をひとつの土台として、本年度は神戸雰囲気学研究所(KOIAS)を神戸大学大学院人文学研究科内に正式に設立した。多分野の研究者の協働によって新学術領域である雰囲気学を樹立するための組織であり、島津製作所との産学連携も予定されている(契約を締結、社内講演会に登壇)。 ゲーテのガイスト概念については引き続きゲーテの文学作品(特に『ファウスト』)と自然科学論文(特に形態学)を中心に検討を行った。ゲーテが、精神や霊という訳語があてられるガイスト概念を、じつは雰囲気的な現象として捉えていたことが確認できた。こうした雰囲気的現象のありかたを時間論的観点から捉えなおすことが今後の課題である。昨年度の国際独文学会(オンライン開催)での口頭発表(中期ゲーテにおけるイタリアとアルケミアのイメージの通底性を論じた)を論文化した(刊行済)。また昨年度に引き続き、ゲーテの後継者の一人とされるアレクサンダー・フォン・フンボルトの主著『コスモス』について資料整理や翻訳作業を、学術研究員を雇用して推進した。 なお、本科研課題の土台となる雰囲気論を樹立したゲルノート・ベーメ氏の逝去に伴ない、令和5年1月にはドイツ・ダルムシュタットにて氏の追悼シンポジウムが開催された。本科研による成果を生かして「ゲーテと雰囲気の現象学」というタイトルの発表を行い、大きな反響を得た(ドイツ語論文として刊行予定、収録決定済)。このシンポジウムを機縁として、上記の神戸雰囲気学研究所において、ダルムシュタット哲学実践研究所をはじめとしたドイツの各大学・学術機関との関係強化が実現した。スウェーデンのリンショーピン大学やカナダのコンコルディア大学との共同研究の検討も始まっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記したように、当初予定していた研究についても進展があっただけでなく、本科研をひとつの起点として、神戸大学を中心とした領域横断的な研究組織「神戸雰囲気学研究所(KOIAS)」を設立し、今後のさらなる展開の基盤を確立できた。
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Strategy for Future Research Activity |
本科研については、研究期間延長を申し込んだため、令和5年度が新たに最終年度となる。最終年度の二大目標は、神戸雰囲気学研究所(KOIAS)の国際的展開、およびその枠内でのゲーテ研究の展開である。 本年5月から6月にかけてはヴァイマルでの国際ゲーテ協会総会が開催される。新型コロナウイルスの社会的影響が落ち着き、ようやく対面での参加が実現するため、本科研課題について各国の研究者と意見交換する。 これに加えて、キール(ドイツ、6月)とポルトロシュ(スロベニア、6月)での口頭研究発表が決定している。特に後者は、「ゲーテと雰囲気学」という切り口をもとに、新学術領域である雰囲気学を開拓するための重要な機会となる。いずれの発表についても論文としての公刊を予定している。 これらの国際的ネットワーク構築を通じて、神戸雰囲気学研究所を「雰囲気」をめぐる学術発展のハブへと成長させる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により推進できなかった研究について、研究機関を延長して実施することにしているため。
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Research Products
(6 results)