2021 Fiscal Year Research-status Report
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19K12970
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Research Institution | Tama University |
Principal Investigator |
高橋 恭寛 多摩大学, 経営情報学部, 准教授 (70708031)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 書簡 / 藤樹学派 / 中江藤樹 / 儒学 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、コロナ禍における遠隔授業から再び対面授業へと戻してゆく状況の変化のなか、授業や学生対応など学内業務に多大な時間を取られてしまい、今年度も十分な研究時間を確保することが出来なかった。また、未だコロナ禍の収まらないなか、容易に各地へと出向くことが出来ず、十分な資料調査へが出来なかったため、中江藤樹書翰集の諸本収集と比較検討についても不十分なかたちで終わってしまった。 ただし、遠隔複写によって入手することの出来た書翰集も少なからず存在し、今年度も、昨年度に引き続き、それら諸本の収集・整理と比較検討を中心におこなった。そのため、今年度の活動で求めていた書翰集の諸本については、一定数収集することが出来たと考えられる。 それらの書簡を整理した結果、一書を除いて基本的には底本のある書翰集ばかりであり、それらは、刊本を元にした写本が残されているというよりも、藤樹学派内部で出回っている写本が多数を占めていることが分かった。また、藤樹書翰集と言いながら、弟子の淵岡山の問答集が存在してことも分かった。現状において、編纂者自らの手になる書簡集や写本はみつかていない。そのことは、これまで収集した書翰集からも言えることであるが、それは今年度収集したものからも変わりなかった。逆に言えば、刊本とは一線を画するかたちで学派内で出回っていた内容があることが予想されるが、今年度の書簡集収集の結果、それら藤樹学派内で出回っていた書翰集の傾向について分析する道を切り開くことが出来たと言えるであろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
やはり、コロナ禍における遠隔授業から再び対面授業へと戻してゆく状況の変化のなか、授業や学生対応など学内業務に多大な時間を取られてしまい、今年度も十分な研究時間を確保することが出来なかった。そのため、藤樹に仮託した文献『為人鈔』や『止善録』などの内容分析をおこなうことも、十分に出来ない状況であった。 また、各地へと資料調査や研究報告に出向いて資料収集や途中経過報告とそのフィードバックが出来ず、進捗の管理が難しい状況にあった。
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Strategy for Future Research Activity |
一定数の書簡集を収集することは出来たので、今後は、それらの分析段階に入る。基本的には、藤樹学派内で出回っていた書簡集の傾向について考察することになる。 また、これまで分析される機会の無かった藤樹に仮託した文献『為人鈔』や『止善録』などの内容分析をおこなうことも改めて視野に入れて考える。そのような仮託された文献と、再生産された書簡集とのズレなどについても考察していく。
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Causes of Carryover |
実施期間を1年延長し、研究報告や残された資料調査などを実施するための旅費や印刷代、そして論文作成のための書籍購入などにあてる予定。
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