2019 Fiscal Year Research-status Report
パラケルスス主義と偽パラケルスス文書:近世ドイツ語圏の思想運動における終末論
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19K12971
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Research Institution | Seigakuin University |
Principal Investigator |
村瀬 天出夫 聖学院大学, 人文学部, 准教授 (40768503)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | パラケルスス主義 / 科学史 / 宗教史 / ルネサンス / 思想史 / 近世 / 初期近代 / 終末論 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究題目である「パラケルスス主義と偽パラケルスス文書」について本年度はパラケルスス文書『Liber de imaginibus(像についての書)』の真正性問題、ならびに偽パラケルスス文書『De natura rerum(事物の本性について)』との比較を行い、以下の学術大会で発表(計2回)を行った。 4月:国際シンポジウム「Paracelse et les apocryphes pseudo-paracelsiens/ Paracelsus and his followers under investigation(パラケルススとその支持者たちにかんする調査)」トレイユ(フランス、英語発表)、10月:国際学会「Sixteenth Century Society & Conference 2019 Annual Meeting(16世紀学会)」セントルイス(米、英語発表)。 これらの国際的な会議において本研究にかんする有意義な批判と助言を受けることができた。とりわけD.カーン教授(パリ・ソルボンヌ大学)、W. ニューマン教授(米・インディアナ大学)、H. ヒライ研究員(リサーチ・フェロー、米・コロンビア大学)らとの議論では、今後の研究推進にかんする重要な視点を得るとともに、次年度以降の国際的な研究プロジェクト(国際シンポジウム[2020年]の開催、専門学術誌における特集企画[2020年初頭])の企画を進めることができた。 2020年2月には米国の科学史学術誌『Ambix』(審査あり)に本研究最初の重要なアウトプットである英語論文「The Homunculus and the Paracelsian Liber de imaginibus」が掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記(「研究実績の概要」)の研究とその発表ならびに論文出版に加えて、研究環境のさらなる充実化と基礎的文献の収集が進められた。 特に夏期のドイツにおける資料調査(マンハイム大学・ハイデルベルク大学)では国内では入手困難な文献を調査することができたことに加え、さらなる資料調査の必要性・可能性について現地の研究者との打ち合わせにおいて貴重な情報を得られたことは大きな実りとなった。 また以下の論文の投稿と審査が終了しており2020年度中の刊行が期待できる。「16世紀の医師パラケルスス――「学術的ドイツ語」の創造者か、「魔術的文体」を操る錬金術師か」井出万秀・川島隆編『ドイツ語と向き合う』(シリーズ ドイツ語が拓く地平2)【審査あり】。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度から進めてきた重要著作群にかんする分析を踏まえて論文の執筆・投稿・刊行を進めていく。論文執筆として並行して、秋期から春期にかけて国内外での研究報告を計画している(チェコ・オロモウツでの国際シンポジウム、2020年10月28日~31日 など)。 アウトプットとしては以下の計画が進行中であり、これらを引き続き進めていく。論文「パラケルスス文書における救済史」(国際シンポジウム論文集)、論文「The German Paracelsian Paul Linck and his Eschatology」(国際シンポジウム論文集)、事典項目『Encyclopedia of Early Modern Philosophy and the Sciences』(Springer社)、翻訳と解題「パラケルスス:ニンフについての書」(工作舎)、事典項目『科学史事典』丸善出版、事典項目『ドイツ哲学・思想事典』(ミネルヴァ書房)。 なお現在(2020年4月)世界的に新型感染症が拡大しており、今年度は国際的な規模で研究活動一般が遅滞することが予想される。各国の対策に従いながら安全を確保できるよう慎重に国内外の学会・シンポジウムへの参加・発表を検討していきたい。
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Causes of Carryover |
(理由) 本年度に購入しようと計画していた物品が購入できなかったことが主な理由である。 (使用計画) 当初、本年度に購入しようと計画した物品を次年度に購入する。
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Research Products
(6 results)