2020 Fiscal Year Research-status Report
パラケルスス主義と偽パラケルスス文書:近世ドイツ語圏の思想運動における終末論
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19K12971
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Research Institution | Seigakuin University |
Principal Investigator |
村瀬 天出夫 聖学院大学, 人文学部, 准教授 (40768503)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | パラケルスス / パラケルスス主義 / 科学史 / 宗教史 / ルネサンス / 思想史 / 近世 / 終末論 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究題目である「パラケルスス主義と偽パラケルスス文書」について本年度は特に偽パラケルスス文書『De tinctura physicorum』(医師たちのティンクトゥーアについて)に焦点をあて、これと真正文書(『Liber de nymphis』[ニンフの書]など)との比較を進め、こららが混淆していく過程を16世紀後半から17世紀初頭にかけて跡づける作業を進めた。その結果の一部を、2020年秋期にチェコ(オロモウツ)で予定されていた国際会議、ならびに国内の新プラトン主義学会の大会で報告する計画であったが、今般の新型感染症拡大のため会議が延期となり、公開・発表するに至らなかった。これらの会議・大会での発表は2021年度の開催を想定し、さらに研究を進めることとなった。 内外の移動が厳しく制限されるなか、オンラインによる研究者の交流が進み、オンデマンド配信による研究結果の一般公開を実施した(YouTube内「BHチャンネル」2020年11月16日公開:https://www.youtube.com/watch?v=4xFQ_2wMRVc[2021年4月30日閲覧])。 なお2020年4月には本研究題目の一部をもとにした百科事典項目2点(英文)が『Encyclopedia of Early Modern Philosophy and the Sciences』(Springer社)に掲載され、出版に先立ってオンライン公開された。9月には本研究題目の一部(偽パラケルスス文書の近世における影響)をもとにした邦語論文が井出万秀・川島隆編集『ドイツ語と向き合う』(ひつじ書房)に所収・出版された。また12月には立教大学史学会の機関誌『史苑』に、本研究題目の中心的テーマである偽パラケルスス文書とパラケルスス主義の終末論を取り上げた研究代表者によるドイツ語論文の邦訳が掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型感染症の世界的拡大の影響により予定されていた国内外の会議等での研究発表が延期となり、また所属機関(大学)においては感染症対策の立案・運用・改善、ならびに新たな授業形態(リモート授業)の導入と運用に追われたことが理由である。ただし、昨年度から進めてきた出版物によるアウトプットは、その一部が上記のとおり刊行・公開へ至ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度から進めてきた重要著作群にかんする分析を踏まえて論文の執筆・投稿・刊行を進めていく。論文執筆として並行して、秋期から春期にかけて国内外での研究報告を計画している(チェコ・オロモウツでの国際シンポジウム、兵庫県立大学での新プラトン主義学会年次大会シンポジウムなど)。 アウトプットとしては以下の計画が進行中であり、これらを引き続き進めていく。論文「パラケルスス文書における救済史」(国際シンポジウム論文集)、論文「The German Paracelsian Paul Linck and his Eschatology」(国際シンポジウム論文集)、翻訳と解題「パラケルスス:ニンフについての書」(工作舎)、事典項目『科学史事典』丸善出版、事典項目『ドイツ哲学・思想事典』(ミネルヴァ書房)。 なお現在(2021年4月)新型感染症の影響は今なお世界的な規模に及んでおり、今年度も国際的な規模で研究活動一般が遅滞することが予想される。各国の法令等を注視しながら安全を確保できるよう慎重に国内外の学会・シンポジウムへの参加・発表を検討していきたい。
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Causes of Carryover |
(理由)予定されていた国内外の学術会議が延期となり旅費予算が執行されなかったこと、ならびに本年度に購入しようと計画していた物品が購入できなかったことが主な理由である。 (使用計画)延期となった学術会議は次年度の開催予定(調整中)のため、そこで本年度使用されなかった旅費予算を用いることとし、本年度に購入しようと計画していた物品も次年度に購入する。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Homunculus2020
Author(s)
Murase Amadeo
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Journal Title
Encyclopedia of Early Modern Philosophy and the Sciences
Volume: NA
Pages: 1~3
DOI
Peer Reviewed
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