2021 Fiscal Year Research-status Report
The Development of Opera Performances in Russia: Interrelations between Moscow Private Opera Theatre and Theatres in Local Areas
Project/Area Number |
19K12979
|
Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
神竹 喜重子 東京藝術大学, 大学院音楽研究科, 研究員 (70786087)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 地方歌劇場 / オペラ / 普及 / 移動 / 循環 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度も、新型コロナ感染拡大の影響で参加を予定していた国際学会のほとんどがオンラインとなり、またロシアによるウクライナ侵攻のため、ロシアに渡航することが困難となり現地での資料調査ができなかった。そのため、以前に収集した資料(書簡、自伝)を中心に、モスクワやサンクトペテルブルクなどの主要都市及び地方における私立オペラ団の活動に関して整理し、私立マーモントフオペラ団との関係性についても考察した。その結果、1890年代において、私立マーモントフオペラ団のライバルとなる私立オペラ団がサンクトペテルブルクやモスクワ、ノヴゴロド、キーウ、トビリシにおいて多数誕生し、私立マーモントフオペラ団に多大な影響を与えていたことがわかった。特に私立プリャーニシュニコフオペラ団は、トビリシ、キエフとオペラ上演の拠点を移動し、最終的にはモスクワにおいてオペラ界の重鎮や評論家に注目され、その後のロシアにおけるオペラ上演文化の発展に大きく貢献している。こうした私立プリャーニシュニコフオペラ団の活躍が、私立マーモントフオペラ団にとって、その後のレパートリーを刷新する動機づけともなった。その影響力は両者間で多くのソリストや舞台裏関係者が移動していることからも窺える。以上に鑑み、今年度は私立プリャーニシュニコフオペラ団員のキャリアに関するデータベースを作成し、個々のオペラ団員の地方都市と主要都市間での移動、私立マーモントフオペラ団との関係性(専属としての雇用契約やゲスト出演)について分析した。論文に取りまとめて投稿する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ感染拡大やロシアによるウクライナ侵攻により、当該年度に予定していた資料調査ができなかったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
帝室劇場のレパートリーから長らく除外されていたオペラ作品が、私立マーモントフオペラ団員の帝室劇場への移動と共に徐々に普及した経緯について、 帝室劇場支配人の自伝や書簡をもとに分析し、考察する。 1890年代の私立マーモントフオペラ団とライバル関係にあった主要都市、及び地方都市の私立オペラ団の上演活動について、上演データの収集を引き続き行う。
|
Causes of Carryover |
コロナ感染拡大とロシアによるウクライナ侵攻の影響でロシアをはじめとする海外に資料調査に行けなかったため。次年度に必要な物品購入、旅費に充てるつもりである。
|