2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K12987
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
宍倉 正也 東京工業大学, リベラルアーツ研究教育院, 研究員 (90781766)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | からゆきさん / 旅をする音楽 / 民族音楽学 / Transborder Humanity / 大正琴 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主だった研究実績としては、2022年に発表した論文「Lullaby, Travel, Nostalgia: Intersectional Soundscapes of Migrant Prostitutes in Southeast Asia」が挙げられる。これは『Proceedings of the 6th Symposium: The ICTM Study Group on the Performing Arts of Southeast Asia』に掲載されている。また、これまでに熊本大学、台南国立芸術大学、国立台湾大学、国立台湾師範大学などで、「からゆきさん」に関連した招待講演を行なってきた。学会発表としては国際伝統音楽評議会の東南アジア大会などで発表を行った。ただし、2020年度からはコロナの影響で現地調査などが全くできなかった。そのため本研究は、理論的な枠組みとしてTransborder Humanity、そして文化人類学におけるontological turnに関しての考察を進めた。これらの理論的研究は一定の成果を収め、Performing ontologiesに関するパネル発表を、昨年度ポルトガルのリスボンで開催された国際伝統音楽評議会世界大会で行った(オンラインで参加)。本年度は海外渡航も可能になったので、国際伝統音楽評議会の世界大会(アフリカのガーナで開催予定)で、「A Japanese Musical Instrument in Africa: Intersecting Journeys of Taishogoto and Karayuki-san」と題した発表を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナの影響で、本研究は大幅に遅れている。特に海外渡航が出来なかったため、海外での現地調査を主な研究手法とする本研究には非常に困難な状況が続いた。そのような中でも、Transborder HumanityやOntological Turnに関する考察は進捗を見せている。特に、Ontological Turnに関しては、台南国立芸術大学のMade Hood教授が提唱するPerforming Ontologiesという考えが有用で、これに関する共同研究発表(オンライン)も昨年度行った。しかし、やはり現地調査が行えなかったためデータが集められず、この遅れを取り戻せるように本年度は現地調査を進めたい。
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Strategy for Future Research Activity |
上に述べたように、本研究は大幅に遅れているが、それでも理論的枠組みの面では少しずつ進捗している。特に本年度、国際伝統音楽評議会の世界大会で発表予定の「A Japanese Musical Instrument in Africa: Intersecting Journeys of Taishogoto and Karayuki-san」という論文は、本年度新たに採択された科研費「Transborder Humanityの研究:旅をする『からゆきさん』の音楽を中心に」へとつながる重要なケーススタディとなる。また、本研究は延長申請を行ったので、本年度まで継続できる。海外での現地調査、特に香港、アフリカ、オーストラリア等での調査を進めていきたい。本研究「歌からたどる『からゆきさん』の物語」は本年度で終了となるが、新たに採択された「Transborder Humanityの研究:旅をする『からゆきさん』の音楽を中心に」へと連結させ、今後は多くの研究成果を残してゆきたい。
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Causes of Carryover |
2020年度からのコロナの影響で海外での現地調査が行えなかったため、次年度使用額が生じた。そのため本研究の延長申請を行った。2023年度には、国際伝統音楽評議会世界大会での学会発表、またアフリカ、オーストラリア、香港などで現地調査を行う予定である。
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