2019 Fiscal Year Research-status Report
西洋哲学における「崇高」概念の変遷:古代から現代までの総合的調査
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19K12991
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Research Institution | Kanazawa College of Art |
Principal Investigator |
星野 太 金沢美術工芸大学, 美術工芸学部, 講師 (80646208)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 美学 / 修辞学 / 崇高 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、偽ロンギノス『崇高論』および古代修辞学(代表的なものとしてはデメトリオス『文体論』、キケロ『弁論家について』、クインティリアヌス『弁論家の教育』)における「崇高」の研究にその大半を費やした。とりわけ、日本語ではほぼ初となる『崇高論』の校訂版翻訳(『古代文芸論集』戸高和弘・木曽明子訳、京都大学学術出版会、2018年)などを参照しつつ、古代における「崇高」概念の生成についての認識を深めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は、A:古代ギリシア・ローマにおける「崇高」概念の内実を明らかにすること、B:中世・初期近代におけるキリスト教世界の「崇高」概念の用例を調査すること、C:近代・現代における「崇高」の理論的展開を歴史的かつ地域横断的に跡づけること、の3つを大きな目標に据えている。4年間で以上の目標を達成するうえで、今年1年間はおおむね順調な進展を見せたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、ダンテの『神曲』をはじめとする中世文学、およびスコラ哲学の伝統における「崇高」の用例およびその概念規定を調査する予定である。本調査は相対的に先行研究が少なく未知数の分野であるが、エーリッヒ・アウエルバッハやエルンスト・ロベルト・クルティウスの研究を足がかりに、文学と宗教に跨ると推測される、「崇高」概念の変遷を可能なかぎり詳らかにする。
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