2019 Fiscal Year Research-status Report
An investigation into the development of modern Okinawan bon-odori under the influence of Mainland Japanese Popular Culture
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19K12992
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Research Institution | Okinawa Prefectural University of Arts |
Principal Investigator |
遠藤 美奈 沖縄県立芸術大学, 付置研究所, 研究員 (80772780)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 盆踊り / エイサー / 大衆文化 / 櫓 / アイデンティティ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、戦後アメリカ統治下にあった沖縄の人びとが「国民」という枠組みの中で、本土の文化と自らの文化を実践し、自らのアイデンティティをどのように育んできたのかを芸能研究の側面から解明することにある。 また、本研究は、本土の文化として沖縄へ移入された「盆踊り」と自らの芸能「エイサー」を事例にして考察を進めている。この視点は、本年度までの「本土大衆文化の影響にみる近現代沖縄の盆踊りに関する基礎的研究」を踏まえたものである。研究成果から、戦後のアメリカ統治下での移入が影響を強く受けていることが明らかとなったため、現在の実践状況を把握することによって、移入直後の状況の考察を補完できるものと考えている。 研究期間における主な調査手法は、沖縄県内における各字ごとの盆踊りの実践に関する悉皆調査にある。 本年度は、沖縄県南部と宮古島へのフィールド調査を実施した。南部地域は伝統的なエイサーを継承している地域は少なく、他の土地から新しく習い覚えて土地のエイサーとしたところが多い。そのためか、エイサーの演舞会場(公民館等)では、盆踊りに象徴的な「櫓」の使用が多くみられた(多くは盆踊りもエイサーも両方同日か別日に行う)。一方で、エイサーのない宮古島では、現在、盆踊りの実践はほとんどなかった。だが、かつての実施状況を聴くに、本土文化との接点であると同時に、クイチャーといった宮古島の独自文化を体験する交差点となっていたとの声が聞かれた。 悉皆調査を進めるにあたり、「櫓」は各々形状や用途が異なっていたが、いくつかのパターンに分類は可能である。エイサーの中に根強く残された一種の「異物」としての「櫓」は、いつまで残されるのか、現代における本当の役割を見極めながら、全域調査を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
追補調査がコロナの影響を受けて実施することができていない。 また、悉皆調査を行うにあたり、書面によるものも検討するが、主に対面での調査が必要である。今後も、調査が送れる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
研究手法については、多少の見直しが必要となる。 対面による聴き取り、そして祭事そのものの実施が本年度は見込めない。最小限の対面による聴き取りと実態把握として、市町村等の関係者に情報提供を依頼し、3年目に各字の悉皆調査へ容易に望める体制を作る。
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Causes of Carryover |
必要物品の入手の必要がなくなったため、次年度に別の機器を購入する予定である。
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