2020 Fiscal Year Research-status Report
理想的観賞者説の改訂・展開による、複合文化的な美的経験論の構築
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19K12993
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Research Institution | Otsuma Women's University |
Principal Investigator |
森 功次 大妻女子大学, 国際センター, 講師 (30720932)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 分析美学 / 芸術的価値 / 美的価値 / 美的経験 / サルトル / ネタバレ / 美学 / 子育て |
Outline of Annual Research Achievements |
本年はコロナ禍でオンライン授業への対応に追われ、思うように研究を進めることができなかったが、その状況下で、美的価値をめぐる近年の論争を精査する作業を中心に研究を進めた。 まず書籍としては、『現代フランス哲学入門』に項目「サルトル」「デュシャン」を、『美学の事典』に項目「批評・解釈の役割――作品の意味は作者の意図に還元されるのか」「子育てと美学」を執筆し、刊行することができた。論文としては『人間生活文化研究』に「芸術作品のカテゴリーと作者性 :「なぜ会田誠の絵をVOCA展に出してはいけないのか」 を、『現代思想』(特集:現代思想の総展望2021)に論文「美的なものはなぜ美的に良いのか:美的価値をめぐる快楽主義とその敵」を掲載した。 学会参加としては、3月にメルロ=ポンティ哲学研究会(ワークショップ「現象学的美学の系譜」)にて特定質問者を務めた。 ほか、アウトリーチ活動として、雑誌およびWEB媒体に以下の記事を執筆した。1)「表現の萎縮に受け手の偏見――あいちトリエンナーレ2019が残した課題」リディラバジャーナル、2020年4月。2)「哲学のオンライン授業を文書配布形式で行う理由」『フィルカル』5(3)、2020年12月。3)「『シン・エヴァ』、優しい「ネタバレ配慮」がネットに溢れる「独特の理由」【ネタバレなし】 」現代ビジネス、2021年3月。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年はコロナ禍で授業面で様々な対応に追われ、思うように研究を進めることができなかった。当初行う予定だったワークショップも取りやめとなったし、学会参加も難しい状況だった。 そんな中でも、かろうじていくつかの論考は表に出せたし、進行中のフランク・シブリーの論文集の翻訳計画は、少しずつ進めることができている。以上の理由から、区分は3とした。
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Strategy for Future Research Activity |
現在進めているフランク・シブリー論文集の翻訳は今年度中には成果として発表したい。 また、近年の理想的観賞者説について検討した論文を、仕上げることが一つの目標となる。 今年度も引き続きオンライン授業の準備に追われることになりそうだが、うまく時間を見つけつつ研究を進めていきたい。
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Causes of Carryover |
昨年度はコロナ禍のため、学会参加・視察のための出張が思うようにできなかった。また、当初予定していたワークショップも開催できなかった。これらの事情から、いくつかの計画を翌年度に延期することにした。 今年度は延期したワークショップを開催するなどして、当初の研究計画を実行していきたい。
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