2022 Fiscal Year Annual Research Report
履歴と言説の追跡による仏像彫刻の再検討-戦前期国宝指定作例を中心に-
Project/Area Number |
19K13016
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Research Institution | Tezukayama University |
Principal Investigator |
杉崎 貴英 帝塚山大学, 文学部, 教授 (30460744)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 石位寺 / 国宝尊像石標 / 文化財の生命誌 / 久留春年 / 再認識 / 言説史 / 郷土史 / 仏教考古学 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究期間の1年延長による最終年度となった2022年度は、保留の状態にあった諸課題(現地調査および遠隔地の資料保存機関における調査等)の推進と、前年度までの成果の補完調査ないしアフターケアを年間を通じておこなった。年度末までに公刊ないし公表に至った主たる成果は以下の通り。 (1)前年度末にひとまずの報告を公刊するに至った国宝尊像石標(仮称。「国宝」に指定された彫像の所在を銘記した石製の標柱/記念碑)については、新たに数基の存在を現地訪問および示教により把握することができた。それを含むかたちで、所属先の学内研究所主催の公開講座において一般向けの講述をおこなった(「名品・名作誕生18」第4回〔3月18日〕、終了後に申込者を対象として期間限定でオンデマンド配信)。(2)前年度末に近現代の消息をまとめた石位寺(桜井市忍阪)の石造浮彫伝薬師三尊像(1936年国宝指定、現・重要文化財)に関して、再認識と言説史の把握を意図した年表兼文献目録をまとめた(『帝塚山大学文学部紀要』第44号)。(3)地域的各論として、奥能登地域(『石川県立歴史博物館紀要』第31号)・富山県域(『富山史壇』第199号)を対象に、再認識および戦前期国宝指定に関する状況を郷土史・仏教考古学の関与に注視しつつまとめたほか、大谷寺越知山三所権現本地仏像について、履歴と言説および再認識に関わる把握を併せた調査報告をまとめた(『越前町織田文化歴史館研究紀要』第8集)。(4)2019年度に基礎的把握の報告をなした久留春年(1881?~1936)に関する追考として、事績に関しその後に得られた理解をまとめた(『奈良学研究』第25号)。(5)所属先の附属博物館にて、(4)に関わるものほか新たに把握した資料数点を含む展示を構成し、一般公開に供した(企画展示「古代美探求-奈良の近代 まなざしといとなみの諸相-」2月24日~3月18日)。
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