2019 Fiscal Year Research-status Report
Sound of the Universe: Art direction for creating an instrument through a cosmic ray detector
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19K13027
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
田中 ゆり 東京藝術大学, 大学院美術研究科, 大学院専門研究員 (70823425)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 科学と芸術 / 協働 / サウンドアート / 素粒子物理 / 宇宙芸術 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、実験物理学者とサウンドデザイナーとの協働を通じて、素粒子を用いた楽器のあり方の研究基盤を発展させることを志向している。また、協働を通じて新たな芸術表現を生み出すアートディレクションの方法論を編み上げる。具体的には、研究協力者Umut Koseの開発するミューオン検出器から、地球に常時降り注ぐ宇宙線ミューオンと呼ばれる素粒子を検出し、その信号を研究協力者Pavle Dinulovic、Chris BruckmayrがUnreal Engine 4およびFMOD Studioを用いて開発したサウンドシステムに取り込み、スピーカから出力することで、雨音のような音が生まれるように実装した。 本研究のプロトタイプとして、<Particle Post - Letters from the Universe>と題した作品は、2019年9月にオーストリア、リンツ市において開催された科学と芸術の国際的な祭典、アルスエレクトロニカ・フェスティバル2019にて成果発表を行った。フェスティバルの現場では、関係者と来場者から多くのフィードバックを得た。 その後、2019年9月に国際会議EPSC-DPS (Europlanet Science Congress - Division for Planetary Sciences) Joint Meeting 2019(ジュネーヴ)、10月に環境芸術学会(東京)での研究発表を通じて、世界各地の専門家からも知見を集めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
サウンドシステムや実装方法を模索する段階から始まった本研究であるが、2019年度はプロトタイプの完成・発表まで進展することができた。本研究の発展の要となる外部からのフィードバックから、サウンドシステムの改善、実装デザインの改良などの課題も明らかになった。さらに、今後の研究の方向性を研究協力者と明確に確認し合った。研究協力者との協働を通じたアートディレクションも有効に働いているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の核は、宇宙を飛び交う素粒子の振動をもとにした、「宇宙の音」を人間が享受する体験を生み出す、新たな芸術表現のあり方を追究することである。今後は、京都大学の花山天文台での成果発表に向けて、当天文台の場所性と文脈を踏まえたサウンドシステムの構築と実装デザインを進める予定である。なお、2020年度は不確かな世界情勢を考慮し、国外の研究協力者とは当面遠隔で研究開発を行い、協働の方法や発表の時期等、検討を重ねて柔軟に進める。 また、2020年秋に開催される国際会議(IAC 2020)および環境芸術学会で発表し、専門家からの知見を集める予定である。
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Research Products
(3 results)