2019 Fiscal Year Research-status Report
Religion and Science: With a Focus on Atomic Bomb History and Postwar Nagasaki
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19K13043
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中尾 麻伊香 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 助教 (10749724)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 原爆 / 長崎 / 永井隆 / 被爆者調査 / 慰霊 / 拾骨所 / 献体 / 墓地 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は以下のように研究をすすめた。 ・長崎におけるキリスト教信仰の歴史から、永井隆をはじめとするキリスト教徒たちの原爆の受容をあらためて検討した。この内容についてテルアビブ大学で開催された研究会Order and Disorder in Asiaで報告を行った。また、表象文化論学会のシンポジウム「アポカリプスの表象/表象のアポカリプス」で関連する報告を行った。 ・浦上天主堂の被爆煉瓦を塔に用いている鯛ノ浦教会を訪問し、当時を知る方へのインタビューや資料調査から、被爆煉瓦の一部が浦上から鯛ノ浦教会に移管された経緯を調査した。11月のローマ教皇来崎に際して長崎の人々が教皇を迎える様子を調査し、また38年前のローマ教皇来日の様子についても聞き取りを行った。 ・多くの原爆犠牲者の遺骨を収骨している東本願寺長崎教教会(真宗大谷派長崎教務所)を訪れ、被爆者収骨所の見学、教会の歴史に関する聞き取りと資料調査を行った。8月9日に人々が爆心地付近から金比羅山へと避難したルートをたどり、穴弘法寺では僧侶に話をうかがった。毎年8月8日に開催されている宗教者懇話会の主催する慰霊祭に参加した。祈りの三角ゾーン(大浦諏訪神社、大浦天主堂、カトリック大浦教会、真宗大谷派妙行寺)をめぐり、長崎における被爆者の慰霊と宗教の関係について考察を深めた。 ・被爆者調査については、長崎大学原爆後障害医療研究所が保管している米軍による被爆返還資料の調査を行った。また、被爆者調査や被爆者運動に関わってこられた方々へのインタビューを行った。 ・長崎の歴史研究者らとともに長崎の近現代資料の保存・公開を目指した活動をはじめ、呼びかけ人の一人として「長崎の近現代資料の保存・公開をもとめる会」を結成した。長崎原爆被災者協議会(長崎被災協)を訪れ、資料整理について相談をはじめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題に関して、さまざまな方面から調査を進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
可能な範囲での資料調査と、これまでに調査した資料の精査を行う。
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Causes of Carryover |
今年度は他の研究課題のために在外研究を開始し、本研究課題のための旅費を多く使用しなかったため。使用計画としては、書籍の購入や旅費などに充てる予定。
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