2021 Fiscal Year Research-status Report
"unknown"をめぐる専門家内ギャップの研究――「科学的無知文化」の社会学
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19K13046
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Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
中屋敷 暁 (井口暁) 追手門学院大学, 社会学部, 准教授 (20839477)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 科学的無知 / 了解 / コミュニケーション / 意思決定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「科学的無知文化の社会学(sociology of scientific cultures of non-knowledge)」の学説史的・理論的検討を行い、それを基に、日本の原子力・放射線関連分野における無知文化の多元性、階層性、政治的影響力について検討を進めることにある。 上記の目的を達成するために、2021年度は、2019~20年度に収集した資料の精査・分析を進め、国内学会にて研究報告を行うとともに、国内学会誌及び国際学会誌へのエッセイの投稿を通じて成果を発表した。 これらの研究活動を通じて、(1)社会学的無知研究を牽引する二つのアプローチとして「非知の社会学」と「アグノトロジー」の間にどのような類似点と相違点が存在するのか、(2)異なる無知解釈フレームに依拠する社会的アクターの間での「無知をめぐる社会的対話」の一方策として注目されうる「共同事実確認(Joint Fact-Finding)」のどの点に有効性と限界が存在するのか、について重要な知見を得た。 今後は、以上の理論的成果を基にして、原子力・放射線関連分野における無知解釈傾向を整理し、無知文化の多元性と競合関係、その政策決定過程への影響について事例研究を進めることが重要な課題となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の影響により、2019年度に引き続きドイツでの在外研究・資料収集を延期せざるをえず、無知の社会学及び無知学に関する学説史的・理論的な検討に遅れが出ているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、3年目までの理論的研究の成果を総合するとともに、日本の事例に対する応用的研究をより一層進めることが重要となる。
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Causes of Carryover |
計画では予算をドイツ等での在外研究旅費にあてる予定であったが、新型コロナ禍の影響により断念せざるをえない状況となった。そのため、令和4年度の旅費および資料取り寄せ・購入等にかかる費用として使用する予定である。
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Research Products
(4 results)